阿部一二三 丸山との因縁対決制し3度目V 直接対決4連勝でパリ五輪争い大きくリード
「柔道・世界選手権」(7日、タシケント)
男女各1階級が行われ、男子66キロ級決勝で東京五輪金メダルの阿部一二三(25)=パーク24=が丸山城志郎(29)=ミキハウス=に優勢勝ちし、2018年以来3度目の優勝を果たした。丸山は3連覇を逃した。男子の日本勢同士による決勝は2015年の73キロ級で大野将平(旭化成)が中矢力に勝って以来。女子52キロ級は東京五輪覇者の阿部詩(22)=日体大=が決勝で同五輪3位のチェルシー・ジャイルズ(英国)に優勢勝ち。19年以来3度目の優勝で、東京五輪と同様に兄妹で同日金メダルに輝いた。
宿命のライバル対決にケリをつけると、一二三は両腕を大きく広げて勝ち誇った。続けて、五輪金メダリストの証しである背中の金ゼッケンを両手親指で何度も誇示。畳を降りると、先に優勝を決めていた妹の詩と軽く抱き合い、喜びを分かち合った。
決戦序盤は丸山の攻勢に押され、先に指導2となり後がなくなった。しかし、落ち着いていた五輪王者はチャンスを見逃さない。内股を狙って前進してきた瞬間、小外掛けで迎撃。一気に畳に転がし「技あり」を奪った。
東京五輪切符を最後まで激しく争い、一時は丸山に3連敗も喫した。一騎打ちの代表決定戦で24分の死闘を制し、五輪も経た今「(負けるときは)焦っていた。自分を信じて試合をすれば負けない」と気付いた。
ライバル関係はパリに向けて“第2章”に突入したが、4月の全日本選抜体重別に続いて返り討ちにし、直接対決4連勝。パリ五輪に向けても今大会の持つ意味は大きく「こんだけ(何度も)戦ってきて(勝負どころは)ここじゃないかと。勝つか負けるかはデカい。節目だと思っている」と、自ら位置付けた天王山を制し、ライバルに差をつけた。
一二三は12月のグランドスラム東京大会も優勝すれば、来年5月の世界選手権(ドーハ)代表に決まる。今度こそ“独り旅”で、パリへの先行逃げ切りを図る。