阿部一二三が凱旋帰国 丸山とのライバル対決に一区切り「自分の方が強いと証明できた」
柔道の世界選手権タシケント大会で優勝した東京五輪男子66キロ級金メダルの阿部一二三(25)=パーク24=が9日、凱旋(がいせん)帰国した羽田空港で取材に応じた。決勝では大会2連覇中だった丸山城志郎(29)=ミキハウス=との因縁のライバル対決を制し「しっかり優勝できたことに喜びを感じている。(今回の丸山との対決が)節目だと言ってきて、これで直接対決でも4連勝。自分の方が絶対に強いんだぞと証明できたと思う」と胸を張った。
完勝だった。これまで丸山との直接対決は10度を数えるが、4分間の本戦内で投げて勝ったのは今回が初めて。相手が内股を狙って前進してきたところに合わせた強烈な小外掛けで決着をつけたが、「何回も対戦しているので体が勝手に反応した。もう何かを(作戦として)狙うとかはやってない。本能のままに戦った」と回想。大一番を間近で見ていた妹の阿部詩(22)=日体大=は「意地と意地のぶつかり合いだった。(一二三は)昔から見ていて、本当に勝負強いなと思う」と兄に脱帽した。
史上初の一騎打ちとなった五輪代表決定戦の24分間の死闘を経て、東京五輪では金メダルを獲得。さらに、今年に入ってからも丸山に2連勝した。今後も直接対決の可能性は残るものの、24年パリ五輪代表争いにおいてもリードを大きく広げた形で、一二三は「(今回)世界選手権の大舞台でしっかり投げて勝ち切ったことには意味がある。自分の中では節目かなと思っている」とライバル関係に一区切りを強調した。
今回の世界王者は、12月のグランドスラム東京大会(東京体育館)も優勝すれば、五輪前年の大一番である来年の世界選手権(5月、ドーハ)の代表に決まる。パリ切符に一歩近づいた一二三は「(GS東京で)内定を取ることが一番大事。改善する部分はたくさんある。まだまだ成長していきたい」と気を引き締めた。