レスリング五輪連覇の金城梨紗子 出産経て437日ぶり復帰V「お母さんの頑張りを形に残す」
「レスリング・全日本女子オープン選手権」(16日、焼津市総合体育館)
女子59キロ級で、五輪2連覇の金城(旧姓・川井)梨紗子(27)=サントリービバレッジソリューション=が昨夏の東京五輪以来437日ぶりに実戦復帰し、3試合を勝ち抜いて優勝を飾った。昨夏の結婚、今年5月の第1子出産を経て、産後5カ月で早くもカムバック。パリ五輪代表選考のスタートとなる12月の全日本選手権の出場権も獲得し、ママレスラーとしての新たな挑戦が始まった。
ブランクを感じさせない圧倒的な強さを見せつけた。「五輪以来の試合で懐かしい感情。緊張もしたし、新鮮な気持ちだった」。初戦は中堀水葵(日体大)をわずか51秒で抑え込んでフォール勝ち。準決勝は長谷川姫花(堺リベラル高)を手さばきでコントロールし、グラウンドで連続得点を重ねて1分23秒でテクニカルフォール勝ちした。決勝は6分間をフルに戦い抜き、中西美結(至学館大)に9-0で完封。全試合無失点で貫禄を見せた。
金城は昨夏の東京五輪で57キロ級を制し、五輪2連覇を達成。また、62キロ級代表の川井友香子(25)と悲願だった姉妹金メダルにも輝いた。昨年8月27日にはレスリング選手の金城希龍と結婚したことを発表し、今年5月に第1子となる女児を出産。その翌月には、明治杯全日本選抜選手権で友香子のセコンドに入り、現場復帰を果たした。
6月には、24年パリ五輪出場も見据えて現役を続けることを明言。同月末から日本代表の強化拠点である国立スポーツ科学センター(JISS)の育児サポートなどを受けながらトレーニングを再開した。わずか4カ月で実戦マットに上がったが、「(再開して)最初は大丈夫かなと思った。準備運動もままならないくらい体が変わっていて。出産前とは別物の自分。少しは成長できたかな」とブランクを感じていたという。
し烈な戦いの舞台に帰還し「レスリングは苦しい場面が多いが、なんだかんだ好きで戻ってきちゃった」とニヤリ。パリ五輪に挑戦するが、過去2大会とは異なる心境だといい、「子供が産まれても、お母さんが頑張っているのを形に残せるのは幸せ。今までとは違う気持ちで取り組めている」と実感を込めた。