アーチェリー・山本博 還暦で目指すパリ五輪「シルバーの星目指します」
間もなく60歳の還暦を迎える大ベテランが、今も力強く矢を放っている。23日まで東京夢の島公園で行われたアーチェリー全日本選手権で、2004年アテネ五輪銀メダルの山本博(日体大教)が男子リカーブで9位になった。24年パリ五輪の代表選考の前提となる11月上旬のナショナルチーム選考会への出場を決め「パリへの道が消えなくて良かった」と笑った。
腕や指のしびれを解消するため20年8月に左右の第1肋骨(ろっこつ)を取り除く手術を受けたが、同10月の全日本選手権は初の予選落ち。72射で順位を決めた昨年も52位に沈み「手術を後悔した」という。
それでも教え子たちに「人生は波だから、悪い時もあればいい時も来る」と言い聞かせてきた手前、諦めずにリハビリと練習に励んだ。筋力が戻ると今年10月の国体では「眠っていた勝負師魂がくすぐられた」と闘志も湧き、東京の成年男子団体3位に貢献した。
予選23位で通過した今大会の決勝トーナメントは安定感が増す重い弓で初めて戦った。準々決勝を前に2回戦で敗れたものの手応えはあった。大事な選考会は赤いちゃんちゃんこにちなみ、赤いユニホームで臨む予定だ。衰え知らずの情熱でパリ五輪と、その先の28年ロサンゼルス五輪にまで目を向け「中年はもう古い。シルバーの星を目指します」と満面の笑みで意気込んだ。