“闘う医学部生”朝比奈沙羅 まさか両者反則負け「頭になかった」初戦敗退でパリへ後退
「柔道・講道館杯」(29日、千葉ポートアリーナ)
女子78キロ超級2回戦が行われ、18、21年世界女王の朝比奈沙羅(26)=ビッグツリー=は粂田晴乃(了徳寺大職)と対戦したが、まさかの両者反則負けを喫した。来年の世界選手権代表選考に向けても痛恨の初戦敗退となり、集大成と位置づける24年パリ五輪に向けて一歩後退する形になった。
朝比奈は9月の試合で右膝半月板を損傷し、2週間前に練習を再開したばかりとあって精彩を欠いた。互いに指導2つで後がなくなったが、なかなか技を出せずに攻めあぐね、両者同時に3つ目の指導が宣告されてともに反則負け。「両者反則負けは頭になかったので、プランニングに甘さがあった。両者指導2になってギアを上げないといけなかった。国際大会だったら見てくれるだろうという甘えがあった。両者に指導が来るという頭がなかったので、ベテランの域になってきても(自分は)まだまだ甘いなと」と反省が口をついた。
20年4月からは獨協医大に通いながら、柔道でも24年パリ五輪を目指す“戦う医学部生”。大会前は睡眠時間を3時間に削って勉強と練習を両立したというものの、今大会は初戦敗退に終わり、世界選手権銀メダルの冨田若春(コマツ)、東京五輪金メダルの素根輝(パーク24)らを追う上で一歩後退となった。
「パリ五輪の年(2024年)で引退を決めているので(柔道は)集大成になりつつあると感じている。2年しかないので、今回の結果はこれまで積んできた経験を無駄にしてしまったような感じがある。(医学部との)両立は大変だが、パリに向けてしっかり柔道と向き合いたい。けがを治して、とにかく真摯(しんし)に柔道に向き合いたい」と前を向いた。