不破聖衣来 5区区間賞に「まさか取れるとは」調子30~40%でも快走「楽しんだ結果」

 記念写真を撮る(前列中央の)不破聖衣来
 記念写真を撮る(右から2番目の)不破聖衣来
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 「全日本大学女子駅伝」(30日、弘進ゴムアスリートパーク仙台発、仙台市役所前市民広場着)

 拓大のスーパーエースの不破聖衣来(2年)は、エース区間の5区で3人抜きの快走を見せ、29分39秒で区間賞を獲得した。不破は万全な状態ではなかったが、拓大の5位に貢献。「まさか区間賞を取れると思ってなかった。楽しんで走った結果」と笑顔だった。

 5区終盤。坂道で不破が1人、また1人と前の選手を抜いていった。調子は決して万全ではなく、「30~40パーセント」の状態。だからこそ、「調子がよくないのは分かってた。平地でも追いつけないから、他の選手がバテる所で詰められたら」と、勝負をかけた。

 不破は前回大会、エース区間の5区で6人抜きを達成し、区間新記録を1分14秒も更新。今季はけがや貧血に悩まされたが、9月に実戦復帰していた。

 体調が戻ってくると、今度は見えないプレッシャーに襲われた。「自分でも分からないまま走れない期間が続いていた。去年からの走りを、けがをしてできなくなったことで比べている自分がいて。結果、結果と思ってしまうと、去年のタイムも周りからの期待も考えてしまう」。大会直前でも調子が安定しなかった。

 不調も、大先輩からの“金言”で乗り越えた。マラソンの2000年シドニー五輪金メダリストで、交流がある高橋尚子さんから、大会前に「楽しんで走って」と連絡が来た。気持ちを切り替えるきっかけになった。「結構つらい所もあったんですけど、沿道の応援のおかげでずっと楽しく走ることができました」と、純粋な気持ちで競技に挑んだ。

 この切り替えに、五十嵐利治監督も「やっぱり驚きが一番。この状態で後半あれだけ上がる。天性の素質だと思います」と目を丸くする。ただ、不破は「いつまでも楽しむことに逃げていてはいけない」と、あくまでも一つの経験だとも話した。

 今後は、12月の記録会で1万メートルの日本新記録を目標にする。「今のままだと達成できない。そこに向けて練習を積みたい」。少しずつ、完全復活への道を歩み始めている。

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