遅咲き渡辺倫果 GP初出場V 渾身の演技でSP6位から大逆転「奇跡的」
「フィギュアスケート・スケートカナダ」(29日、ミシサガ)
女子はショートプログラム(SP)6位だった渡辺倫果(20)=法大=がフリー1位の134・32点で逆転し、合計197・59点でGP初出場優勝を果たした。同種目の日本勢で初出場優勝は2018年のNHK杯の紀平梨花(トヨタ自動車)以来2人目。
目を閉じ、万感の表情を浮かべながら両拳を握りしめた。20歳でGPデビュー戦と遅咲きの渡辺がフリーで渾身(こんしん)の演技を見せ、SP6位から大逆転優勝。歓声を一身に浴び「今、自分ができる最大限の演技ができた。ただただうれしい」と満面の笑みを浮かべた。
樋口新葉(明大)の右脚故障で急きょ巡ってきた舞台。公式練習後は緊張で「半泣き状態」だったというが、冒頭で女子では高難度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めて勢いに乗った。回転不足などもあったものの七つ全てのジャンプを着氷し、目標の表彰台どころか頂点まで駆け上がった。
千葉県出身。以前はカナダに拠点を置いていたが、新型コロナウイルス禍で帰国後、より力を注いだ3回転半の習得で飛躍した。中庭健介コーチの指導で「失敗に対応する能力」を鍛え、ミスを恐れずにジャンプの練習に励んだことが思い出の地のカナダで実を結んだ。
大技を武器に第5戦のNHK杯(11月18、19日・札幌)でGP2連勝とファイナル進出を目指す。「奇跡的なことが最近起きている。いい方向に向かっているのを怖がらず、突き進んでいきたい」と話した。