不破聖衣来 3人抜きで区間賞 高橋尚子さんに背中を押され5位入賞貢献
「全日本大学女子駅伝」(30日、弘進ゴムアスリートパーク仙台発、仙台市役所前市民広場着)
拓大のスーパーエース・不破聖衣来(せいら、19)が、エース区間の5区で3人抜きを果たし、29分39秒で区間賞を獲得した。万全な状態ではなかったが、2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんの“金言”で切り替え、チームの5位入賞に貢献。名城大は史上初の6連覇を達成した。
5区終盤。上り坂に入ると不破のギアが上がった。1人、また1人と前の選手を追い抜き、終わってみれば3人抜きで区間賞。「まさか区間賞を取れると思ってなかった。楽しんで走った結果」と満面の笑みを浮かべた。
見えないプレッシャーと戦っていた。前回大会、不破は5区で6人抜きの爆走で、区間新記録を達成。ただ、今季はけがや貧血に苦しみ、9月に実戦復帰したばかりだ。「去年のタイムも周りからの期待も考えてしまう」と大会直前でも調子が安定しなかった。
そんな中、大会前に以前から交流のあった高橋尚子さんから「楽しんで走って」と連絡が来た。五十嵐利治監督からも同様に背中を押され、気持ちが切り替わった。調子が「30~40%」だったからこそ、気負わずに「沿道の応援のおかげでずっと楽しく走れた」と純粋に競技を楽しんだ。
今後は12月の記録会で1万メートルの日本記録更新を目指す。「今のままだと達成できない。練習を積みたい」。一皮むけた19歳が、完全復活への道を歩む。