ワリエワのドーピング問題 WADAがCAS提訴 露機関に早期解決要求も進展なく
世界反ドーピング機関(WADA)のウィトルド・バンカ会長は8日、自身のツイッターでフィギュアスケート女子で、世界最高得点保持者のカミラ・ワリエワ(16)のドーピング問題について、WADAがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したことを発表した。
WADAはロシア・反ドーピング機関(RUSADA)に対し、速やかな解決を要求していたが、進展がなく、「RUSADAに正式な通知を行ったにも関わらず、進展はありませんでした。したがって、WADAはこの件を公式にスポーツ仲裁裁判所に付託しました」と、表明した。
RUSADAは10月にこの問題について、最終的な結果を公表しないと発表。公式ホームページに「保護対象者であるROCチームのメンバーのフィギュアスケート選手の利益を保護するため、RUSADAは、告発と問題の最終的な解決を含め、秘密とします。公聴会の日付、決定、またその他の詳細について発表するつもりはありません」としていたが、世界的な反発を受けていた。
ワリエワは今年2月の北京五輪期間中に昨年12月25日に採取された検体から禁止薬物の「トリメタジジン」が検出されたことが判明し、大きな騒動となった。同選手は判明前に団体戦での金メダルに貢献。直後に判明したため、表彰式が中止となった。その後、一時的な出場停止処分が下されたが、スポーツ仲裁裁判所が16歳未満の「保護対象者」であることから個人戦出場が認められ、大会後半の女子シングルに出場。金メダル最有力候補とみられていたが、フリーでミスを連発し、暫定4位となった。
ワリエワが失格となれば、北京五輪団体戦の金メダルははく奪され、2位だった米国が金メダル、3位だった日本が銀メダル、4位だったカナダが銅メダルにそれぞれ繰り上がる見込みだが、不透明な状況となっている。