熱海富士 21世紀生まれで初幕内星 相撲部の妹からの厳しいLINEに「勝ててよかった」

 「大相撲九州場所・3日目」(15日、福岡国際センター)

 新入幕の20歳、熱海富士が十両美ノ海を押し出して初日を出した。21世紀生まれの力士としては初の幕内勝利。期待の大器が節目の一歩を刻んだ。大関陣では、かど番の正代が琴ノ若を下して2勝目。貴景勝は高安に屈し、土がついた。大関復帰を目指す関脇御嶽海も、小結大栄翔に引き落とされて初黒星。勝ちっ放しは関脇豊昇龍、小結翔猿と平幕3人の5人になった。

 細い目をさらに細くして、熱海富士がニッコリと笑った。「2日間、ダメだった。ようやく勝てたなと。ちょっとホッとしました」。3日目でつかんだ待望の新入幕星。21世紀生まれの若武者が、幕内で初めて勝ち名乗りを受けた。

 得意の右を差せず、美ノ海に前みつも取られたが、冷静に対応。体を寄せて前へ出ると、どっしり腰を落として押し出した。この日の稽古で、部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)に胸を出してもらい、幕内の速さに遅れていた立ち合いを修正。「白星につながりました」と感謝した。

 年6場所制が定着した1958年以降、初土俵から所要12場所は8位タイ(付け出し除く)のスピード新入幕で、高卒では元横綱朝青龍、元大関栃東に並ぶ最速。並外れたポテンシャルの一方で、素朴なオーラと愛きょうのある笑顔も魅力だ。幕内で初めて獲得した懸賞金には「手刀を切るのに憧れていたのでうれしかった。まずは師匠に渡したい」。鼻血が出た右鼻に詰め物をして、花道を喜色満面で引き揚げた。

 家族の激励も力になっている。妹の陽奈さん(飛龍高2年)も相撲部に所属。連敗発進に「立ち合いで全然当たれてない」と厳しいLINEが送られてきたといい「勝ててよかった」と苦笑した。

 伸びしろしかない20歳。八角理事長(元横綱北勝海)も「一生懸命やる。一生懸命やるのは大事。若いのは」と認め、期待を寄せた。「もっと前に出る相撲を取っていきたい」と熱海富士。記念すべき1勝を弾みに、さらなる出世街道を駆け上がる。

 ◆熱海富士朔太郎(あたみふじ・さくたろう)本名武井朔太郎。2002年9月3日、静岡県熱海市出身。小6から相撲を始め、熱海中3年時に全国大会個人8強。飛龍高1年時に高校総体団体3位、2年時に東海大会個人優勝。2020年11月場所で初土俵を踏み、今年春場所で新十両に昇進した。185センチ、177キロ。得意は右四つ、寄り。好きな食べ物は寿司、カレー。趣味は音楽やYouTube鑑賞。愛称はサク。家族は母、妹。

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