高安7度目の正直だ 単独トップで千秋楽 初Vかけ阿炎と直接対決へ「前向きに」
「大相撲九州場所・14日目」(26日、福岡国際センター)
平幕高安が悲願の初優勝に王手をかけた。輝をはたき込んで2敗を守り、自身初、千秋楽を単独トップで迎える。3敗対決を制した大関貴景勝、平幕阿炎が1差をキープし、優勝争いは3人に絞られた。千秋楽は高安と阿炎が直接対決。貴景勝が関脇若隆景を迎える。高安が勝てば優勝、負けた場合は決定戦となり、貴景勝が勝てば94年春場所(曙、貴ノ浪、貴闘力)以来、28年ぶり3人による巴(ともえ)戦となる。
薄氷を踏みながら、しのぎきった。賜杯レースの先頭を保ったまま、高安がついに最後の直線に入った。
かち上げからの攻めを輝にしのがれると、引いてしまいピンチに。左へ左へ回り込みながら、辛くもはたき込んだ。「内容はよくなかったが、明日も前向きにやりたい。勝ちに結びつけたのでよかった」。バタバタした取り口を淡々と反省しつつ、最終盤での結果をプラスに捉えた。
今年の春場所、秋場所を含め、千秋楽まで優勝争いに絡むのは7度目。ただ、単独先頭は初めてだ。苦い経験を何度も味わった元大関。過去の14日目との違いを問われると「割と落ち着いている。夜もしっかり眠れている」と冷静に答えたが、八角理事長(元横綱北勝海)は「肩に力が入り過ぎている」と指摘。「これから明日の一番、負けてももう一番あると思って、思い切っていけるか」とポイントを挙げた。
悲願の初優勝となれば、初土俵から105場所目は歴代2位、新入幕から68場所目は歴代3位のスロー記録となる。千秋楽には、地元・土浦市で今年3度目のパブリックビューイングも開催予定だ。
「最後の一番ですから、持てる力を全部出し切って、喜んでもらえるようないい相撲とりたい」と阿炎との本割一発で決める。年6場所の優勝者が全て異なるのは1991年以来31年ぶり3度目。群雄割拠の1年を大団円で締めくくる。