大相撲九州場所で初優勝を飾った幕内阿炎（錣山）が千秋楽から一夜明けた２８日、福岡県内の部屋宿舎からリモート会見に臨んだ。２００件超の祝福メッセージが届いたことを明かし「すごく喜んでもらえたなと思ってます。うれしかった」と笑顔。「部屋に帰ってみんなで写真を撮る時に『あ～、こういうものなのか』と喜びがだんだんと出てきました」と優勝を実感した場面を振り返った。

　入院して今場所を休場していた師匠の錣山親方（元関脇寺尾）からはメールで毎日、次の取組のことだけを考える『一番集中』という言葉をかけられてきた。これまで協会のガイドライン違反による出場停止などもあっただけに「心配やご迷惑ばかりかけてきた。少しでも師匠が喜んでくれるように頑張ってきたので、よかった。（前日に）メールで『明日連絡をくれ』と言われたので、これから電話しようと思います」とうれしそうに話した。

　１２勝３敗で元大関の高安、大関貴景勝と並び、２８年ぶりのともえ戦を制しての初優勝。「落ち着いていたし、頭の中で組み立てていた相撲が取れたのでよかった」と冷静な取り口が光った。

　入門以来、師匠を超えることを目標にしてきた。「また一歩進めたんじゃないかな」とうなずくと、期待される大関とりへは「そういう目標は掲げているけど、場所に入れば『一番集中』でしっかり取ることが大事。その結果がついてくれば上を目指していける」と足元を見据えつつ、意欲をのぞかせた。