阿部詩Vで世界代表一番乗り 大会前に右膝負傷も女王の覚悟「立ち向かわないでどうする」

 女子52キロ級で優勝した阿部詩(撮影・伊藤笙子)
 女子52キロ級決勝、志々目愛に投げ技を仕掛ける阿部詩(右)=撮影・伊藤笙子
 女子52キロ級決勝を制し、スタンドに応える阿部詩(撮影・伊藤笙子)
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 「柔道・グランドスラム東京大会」(4日、東京体育館)

 来年の世界選手権(ドーハ)代表選考会を兼ねて行われた。女子52キロ級決勝は、東京五輪金メダルの阿部詩(22)=日体大=が17年世界女王の志々目愛(了徳寺大職)に延長の末、反則勝ちして4年ぶり3度目の優勝。今年10月の世界選手権に続いて制し、来年の世界代表を決めた。

 ドーハ切符を一番乗りでつかみ取った。決勝は何度もしのぎを削ってきた宿敵との我慢比べで攻勢を緩めず、3つ目の指導を誘発。「厳しい試合になると思っていたので、メンタルだけは集中しようとしたのが結果につながった」。勝ち名乗りを受けるとホッとした表情で小さく手をたたき、応援Tシャツを着た兄一二三らがいる観客席に手を振って応えた。

 10月の世界選手権から2カ月弱しか準備期間がなく、欠場を決める有力選手もいる中、阿部は世界女王として「プレッシャーにも打ち勝って自分の実力を上げていきたいと。畳に上がって柔道をするのが自分の使命だと思っているので、そこは揺るがない」と腹をくくった。

 自身は大会2週間前に右膝を負傷し、体調も優れず欠場も頭によぎったが、「ここで立ち向かわないでどうするんだ」と鼓舞。不安要素をはねのけて勝ち切り「自分の地力が上がったかな」と胸を張った。日本女子の増地克之監督は「相手というよりも自分と戦っていた。(出場することに)葛藤があったと思うが、しっかり勝ちきったのは成長が見える一戦だった」とたたえた。

 早期に代表を決めたことで、来年5月の大一番に照準を合わせて着実に準備ができる。日本柔道界を背負うヒロインは「まずはドーハの世界選手権でしっかり優勝して、五輪でも2連覇できるように」と決意を込めた。

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