阿部詩V 世界選手権代表入り一番乗り 右膝負傷乗り越え宿敵下す「絶対に負けない」
「柔道・グランドスラム東京大会」(4日、東京体育館)
2023年世界選手権(ドーハ)代表選考会を兼ねて行われた。女子52キロ級決勝は、東京五輪金メダルの阿部詩(22)=日体大=が元世界女王の志々目愛(了徳寺大職)に延長の末、反則勝ちして4年ぶり3度目の優勝。10月の世界選手権に続いて制し、来年の世界代表を決めた。
阿部詩がドーハ切符を一番乗りでつかみ取った。決勝は何度もしのぎを削ってきた宿敵との延長戦で攻勢を緩めず、指導3を誘発。「諦めず、絶対に負けないぞという気持ちだけだった」。我慢比べを制し、勝ち名乗りを受けると小さく手をたたき、ホッとした表情で客席に手を振った。
真の最強女王になるために自ら試練を課した。10月の世界選手権から2カ月弱しかなく、欠場するトップ選手もいる中、自身も大会2週間前に右膝を負傷。体調も優れず、欠場が頭をよぎったが、心の中の金メダリストは「ここで立ち向かわないでどうするんだ」と鼓舞。「プレッシャーにも打ち勝って実力を上げたい」と勝負の畳に上がり、不安要素や他の挑戦をはねのけ「自分の地力が上がったかな」と胸を張った。
昨秋両肩手術を受け、リハビリから始まった22年を笑顔で締めくくった。「めまぐるしくて人生でもすごく濃い1年だった」。年内は休養し、年明けから再始動する見込みで「まずはドーハでしっかり優勝し、五輪でも2連覇できるように」と視界を鮮明にした。