大野将平の反骨心と孤高「東京のヤツに負けたくない」

 柔道男子73キロ級で2016年リオデジャネイロ五輪、昨夏の東京五輪を連覇した大野将平(30)=旭化成=が第一線を退く意向を固めたことが14日、関係者の話で分かった。五輪2連覇の偉業達成を区切りと捉え、24年パリ五輪は目指さずに指導者の道へ進む決断を下したという。

  ◇  ◇

 大野は反骨心と孤高の王者だった。幼少期になかなか勝てず、早くから頭角を現していた兄哲也さんの陰に隠れ、名前ではなく「大野の弟」と呼ばれた幼少時代の悔しさが原点。柔道私塾「講道学舎」で厳しい鍛錬に耐えた後、天理大の篠原信一監督(当時)に握手を求められ「お前握手したな、天理決定や」と誘われ奈良行きを選んだ。

 大半のトップ選手が首都圏の大学に進む中、周囲に娯楽がない環境に身を置いた理由を聞いたことがある。「地方にいるからこそ東京にいるヤツに負けたくない。東京だと強くならなくても遊ぶ場所はあるが、奈良では強くならないと人生終わりだと思っていた」。パチンコに出かける周囲の学生を尻目に休日も血と汗をにじませ、ひたすら大外刈りと内股を磨いた。

 反骨心で頂点に上り詰め、今や「大野将平」というフルネームを知らない者はいない。闘争心をかき立てるような相手はおらず自己の“王者像”とだけ戦い続けた日々に、東京五輪をもってピリオドを打つのは必然だったように感じる。(デイリースポーツ・柔道担当・藤川資野)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス