レスリング金城梨紗子 ママでも日本一!産後7カ月で全日本V「本当に幸せ」パリ五輪も意欲
「レスリング・全日本選手権」(23日、駒沢体育館)
非五輪階級の女子59キロ級決勝が行われ、五輪2連覇の金城梨紗子(旧姓川井、28)=サントリービバレッジソリューション=が、坂野結衣(警視庁)に4-1で勝利し、5年ぶり4度目の優勝を果たした。東京五輪後に結婚し、今年5月の第1子出産を経て、わずか7カ月で日本一奪還。来年本格化する24年パリ五輪代表争いでは、本来の57キロ級に再挑戦する意向を示唆した。
カムバックした五輪女王が、ママでも強さを発揮した。決勝は序盤に0-1とリードされたものの、第2ピリオドからギアを上げ、タックルからポイントにつなげて2-1と逆転。終盤も相手のタックルを処理してからグラウンドで相手をコントロールし、追加点を重ねた。勝ち名乗りを受けると、スタンドに訪れていた0歳のまな娘に向かって両手を挙げた。
3年半ぶりの全日本大会出場で頂点に立ち「戻ってきた。久しぶりにマットに上がって、勝ち負け以前に戻ってきたなと。(評価が)自分に甘いかなとは思うが」と感慨深げ。川井時代のタイトルと比べて「(喜びの味が)ちょっと違う。名字も変わって、娘もいて、本当に幸せだなと」とかみしめた。
5月に出産し、翌月にはトレーニングを再開した。10月の大会で実戦復帰したが、産後わずか7カ月で日本一にも返り咲き、「育児しながら、色んな人にマットに上げてもらっていると試合しながら感じた。子供がいる中でレスリングをやっていることを(優勝という)形に残せて、ママ頑張ったんだよと将来子供に見せたい」と笑顔。一方で、「私はたまたまうまくいっているが、出産後の復帰は簡単ではない。出産が大変なことだということをもっと知ってほしい」と実感を込めて強調した。
今大会からパリ五輪の予選が始まり「ピリついた雰囲気も懐かしい」。事実上、五輪切符が懸かる来年6月の明治杯全日本選抜選手権では、再び五輪階級の57キロ級に挑戦することを示唆し「出産して五輪を目指すのは(現在)日本で私しかできない。うれしいことだし、誰でもできることではないので。また練習して、レスリング楽しいと思えるからには続けていきたい」と決意を込めた。