藤波朱理 公式戦106連勝&3連覇 プレッシャー打ち勝ち堂々宣言「パリ五輪に出て優勝」

 全日本3連覇を果たし、拳を握る藤波朱理(撮影・高石航平)
 父・俊一コーチ(右)と握手を交わす藤波朱理
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 「レスリング・全日本選手権」(25日、駒沢体育館)

 パリ五輪代表1次選考会として行われた。女子53キロ級決勝は、2021年世界女王の藤波朱理(19)=日体大=が元世界女王の奥野春菜(自衛隊)を5-0で破り、3連覇でパリ五輪への第一関門を突破。自身の連勝記録を106に伸ばした。

 19歳にして既に本命。のしかかるプレッシャーに打ち勝つと、藤波は両手をたたいて頬を緩めた。「本当にうれしい。必ず勝ち切りたかった。ホッとしている」。極限の緊張感から解放され、目にはうれし涙がにじんだ。

 元世界女王との頂上決戦。競り合いの中で「覚えてないが勝手に体が動いた」と本能のままにポイントを先制し、懐の深さを生かしながら完封した。終了ブサーを聞くと、まずセコンドに駆け寄って父俊一コーチと固く握手。激戦区で五輪切符に前進し「53キロ級は絶対に自分がパリ五輪に出て優勝します!」と高らかに宣言した。

 人生初の五輪予選を前に相次ぐけがに見舞われた。8月末に左足甲のじん帯を損傷し、10月には左膝の蜂窩(ほうか)織炎を発症。大一番が近づく中で1カ月以上もレスリングから離れ、焦らずにいられない。「不安も、プレッシャーもあった」と本音をこぼした。

 19歳の内なるフラストレーションを一番に感じていたのは、今春から大学近くで2人暮らしをしている父俊一さん。ささいな会話でも娘の神経を逆なでしてしまい、親子げんかに発展した。「こっちもキツかった。血圧が低いことが自慢だったのに150くらいに上がっちゃって」。ピリつく日々を経て、自身の58歳の誕生日に最高の親孝行を受けた父は「いいプレゼントをもらいました」と目尻を下げた。

 患部が癒え、膝をついてタックルできるようになったのは11月に入ってからだったが、藤波は「これまでで一番の仕上がり」と言えるまで状態を上げた。フタを開けてみれば3試合無失点で、連勝記録も継続。初対戦は持ち越しとなった東京五輪女王の志土地真優(ジェイテクト)らライバルからの包囲網は強まるが、「自分はまだまだ伸びしろがある。(相手の)研究をさらに上回る強さを磨いていきたい」と異次元の高みを見据えていた。

 ◆藤波朱理(ふじなみ・あかり)2003年11月11日生まれ。三重県四日市市出身。レスリング指導者の父俊一さんの影響で4歳から競技を始めた。三重・いなべ総合学園高から日体大に進学。中学2年時の全国大会で最後に敗れて以来、公式戦無敗を続けており、22年6月の明治杯で100連勝を突破。21年世界選手権で初出場初優勝。家族は両親、17年世界選手権銅メダルで現格闘家の兄・勇飛(26)。趣味は食べること。164センチ。

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