東福岡 6大会ぶり7度目V コロナ禍打ち破った!不戦敗した選抜決勝の“リベンジ”
「全国高校ラグビー・決勝、東福岡41-10報徳学園」(7日、花園ラグビー場)
Aシード同士による決勝が行われ、東福岡(福岡)が報徳学園(兵庫)を41-10で下して、6大会ぶりの優勝を果たした。史上3位に並ぶ7度目の大会制覇。初めて決勝に進んだ報徳学園は昨年3月の全国選抜大会、同7月の7人制大会に続く「高校3冠」を狙ったが、兵庫県勢初の優勝に届かなかった。全国選抜大会では、対戦相手に新型コロナの陽性者が出た東福岡が決勝の出場を辞退。報徳学園が不戦勝で優勝した。
頂点に返り咲いた王者の目に涙はなかった。「ありがとう、と選手に言いたい。なかなかきつい3年間だったが、こういう大会で成長させてもらった」。3度宙に舞った藤田雄一郎監督(50)は過去2度の優勝では目を潤ませたが、今回は教え子たちと笑顔で喜びを分かち合った。
昨年3月の全国選抜大会は準優勝。夏の7人制大会は報徳学園に決勝で敗退。最後の大一番は前半開始直後、主将のフランカー大川虎拓郎(3年)のチャージからノーホイッスルトライを決め、主導権を握った。低く鋭いタックルで相手の展開ラグビーを崩した。目指してきた「攻撃的なディフェンス」でターンオーバーを決め、計6トライで完勝した。
「今日が一番良かった。試合に臨むマインドも良かったし、素晴らしいゲームだった」。大川主将は伝統の攻撃よりも防御を磨くことを選び、ディフェンス練習に明け暮れた1年間の集大成に満点をつけた。
入学した2020年は新型コロナによる緊急事態宣言の影響で、通学さえもできなかった世代。全国選抜大会決勝については、代替として行った練習試合で報徳学園を37-10で破ったものの、優勝できなかった無念さから気持ちを切り替えるしかなかった。「当たり前のことが当たり前じゃないと分かって練習への取り組みが変わったし、コロナへの認識も変わった」。大川主将は苦い経験をチームの転換期に挙げた。
チームの立ち上げ時に全員で決めたスローガンは『破る』。日々の練習で自分たちの限界を破り、過去の成績を破る意味を込めた。圧倒的な強さで真の王者となった「グリーンモンスター」たちは厳しい環境を打ち破り、新たな歴史の幕を開けた。
◆東福岡高等学校 1955年創立の私立男子校。サッカー、硬式野球、バレーボールも盛ん。生徒数は2283人。主なOBにサッカー日本代表のDF長友佑都(FC東京)、プロ野球の村田修一(ロッテコーチ)、田中賢介(日本ハムスペシャルアドバイザー)ら。ラグビー部はワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本代表のWTB藤田慶和(三重ホンダヒート)を輩出。