引退の入江聖奈が残した“置き土産”「聖奈超えが目標」幼なじみ、後輩、恩人がパリ五輪へ刺激
ボクシング女子世界選手権(3月・インド)の代表選考プレーオフが15日、神奈川県立スポーツセンターで行われた。52キロ級は22年アジア選手権覇者の木下鈴花(22)=日体大=が代表切符を獲得。既に代表に決まっていた東京五輪ライト級銅メダルの並木月海(自衛隊)らを含め、7人が代表に決まった。
本人は引退しても、日本女子初の五輪金メダリストの存在感は絶大だ。
日体大4年の木下は、東京五輪フェザー級金メダルの入江聖奈(日体大)と同郷の鳥取県米子市出身で、地元ジムから大学まで一緒に汗を流してきた。盟友は「カエル研究」の道に進むため引退するが、木下自身は大学卒業後もパリ五輪を目指して競技続行を決めており、「幼なじみが一番輝いた場(五輪)で、私も一緒に輝きたい。聖奈を超えることがずっと目標なので。(パリ五輪で)並びたい」と闘志を燃やした。また、54キロ級で世界切符を取った成田華(日体大)も入江の2学年後輩で、試合前の緊張のほぐし方などを参考にしているという。
63キロ級の鬼頭茉衣(カネヨシ)は、入江が大学院進学を決める際にアドバイスをした“恩人”。鬼頭自身は東京五輪を逃しただけに「(入江)聖奈や(並木)月海がメダルを取って9割はとてもうれしいが、残り1割は悔しさ」と明かし、「パリは絶対出て金メダルを取ります」と改めて力を込めた。
また、66キロ級代表で、東京五輪開会式に参加した看護師ボクサーの津端ありさ(ライフサポートクリニック)は「東京は(入江と並木の)2人がメダルを取るのを第三者として見る立場だったが、パリ五輪は競技者として出たい」と語った。48キロ級で、自身6度目の世界選手権出場を決めた和田まどか(SEBE)は「(東京五輪出場を逃し)悔しい気持ちしかなかったが、日本人2人がメダルを取って希望を持てた」と明かした。
16年リオデジャネイロ五輪まで、出場さえ叶わなかった日本女子ボクシング界で、入江が残した“日本女子も金メダルを取れる”という自信の置き土産はあまりにも大きい。