「全国都道府県対抗女子駅伝」（１５日、たけびしスタジアム京都発着）

　３年ぶりに有観客で行われ、大阪が２時間１５分４８秒で８年ぶり４度目の優勝。１８位の岡山は３区（３キロ）で、主要大会での駅伝経験がなかった中学３年生、ドルーリー朱瑛里（しぇり、１５）＝鶴山中＝が１７人抜きで９分２秒の区間新記録を樹立。ドルーリーは将来の有望選手として「未来くん賞」に選出された。

　豪快なストライドが生み出す加速に、３年ぶりの沿道の観客からどよめきが起こった。「一人一人前を追って走っていたら順位とタイムがついてきた」。３８位でたすきを受け取ると、たった３キロで１７人抜きを達成。２１位へと順位を上げたドルーリーは「（何人抜いたか）覚えていない」とはにかんだ。

　２０１３年の高松望ムセンビ（大阪）、１９年の南日向（千葉）の持つ９分１０秒の区間記録を８秒も更新した。しかし「８分台が出したかった」と狙ったのは大台。それをなし得る潜在能力を、十分証明した都大路デビューだ。

　所属する岡山・鶴山中の陸上部は女子３人（男子８人）の小所帯。３年生はドルーリー１人で女子の駅伝は経験しなかった。また、昨年の都大路も貧血の影響で出られず、今回が本格的な駅伝の初戦だったため、たすきの受け渡しなどを練習して臨んだという。

　昨年１０月のＵ１６大会の１０００メートルでは、大会記録を更新する２分４５秒８４で優勝。２０００年シドニー五輪マラソン代表で岡山を率いた山口衛里監督（５０）も「中学生の走りではない」と素質に舌を巻く。カナダ人の父と日本人の母を持ち、タレントのトリンドル玲奈を思わせる１５歳は、今春からの高校生活へ向けて「インターハイで活躍したい」と夢を語った。

　◆ドルーリー朱瑛里（どるーりー・しぇり）２００７年１１月１６日、岡山県津山市出身。小学４年の時に津山ジュニアで陸上を始める。小学６年で県大会８００メートル優勝。昨年は夏の全国中学選手権の１５００メートル、秋のＵ１６大会の１０００メートルを制した。中学では陸上部の主将を務めた。父がカナダ人で母が日本人。趣味は美術で、県から水彩画を表彰された経験もある。身長１５７センチ。