JOCがバドミントン協会の強化交付金20%削減を決定 横領を組織的隠ぺいなどガバナンス欠如「組織としての信頼損なった」
日本オリンピック委員会(JOC)は26日、都内で理事会を開き、横領の組織的隠蔽などの不祥事があったバドミントン協会の22年度の強化交付金20パーセント削減を決定した。また、ガバナンスの改善を求める7つの勧告を行い、3カ月ごとの書面での改善状況報告を求めた。
横領事案が起こった際の対応などを問題視し、「日本バドミントン協会が自発的にこの状況を改善するためのガバナンス体制の整備に着手しなかったことにより、組織としての信頼を損ない、また、アスリートたちに不安を与えることになった」などと断じた。
処分に不服がある場合は30日以内にスポーツ仲裁機構に仲裁を申し立てることができる。
バドミントン協会については、国からの23年度の強化費20パーセント削減の処分を受けており、2月中旬に公表予定のスポーツ団体ガバナンスコードの適合性審査で不合格になると、この強化費がゼロになる可能性もある。
一連の事態を受けて、協会は22日にJリーグ前チェアマンの村井満氏を新理事と副会長に決定した。籾井圭子常務理事は「(今回の)処分とは関係ないが、まず第一歩。改革に取り組んでいく姿勢としては評価できる」と期待。「これから改革に取り組むと聞いている。今後定期的に報告を求めて、フォローアップしていく」と話した。
◆日本バドミントン協会不祥事の経過
▽22年3月 18年から元職員による約680万円の公金私的流用があったことなどを公表。協会は19年春頃には把握していたが、東京五輪などが控えていたことを理由に一部の理事が損害を穴埋めし、公表していなかった。JOCなどが調査不十分として第三者委による再調査を要請。
▽同9月 第三者委が協会幹部が隠ぺいを主導したと認定。報告書をJOCとスポーツ庁に提出も、内容は公表せず。
▽同10月 JOCが協会に会見による説明を要請。スポーツ庁がJOCなど5者による円卓会議を開催。23年度強化費を20%削減することが決定。
▽同21日 第三者委の報告書を一部公表。銭谷専務理事ら3人の厳重注意処分、関根会長ら8人への注意処分を公表。
▽同27日 関根会長、銭谷専務理事が一連の不祥事の責任を取り、11月30日付で辞任することを発表した。
▽同11月30日 新会長に事業副本部長、国内事業部長を務める中村新一氏の就任を決めた。
▽23年1月22日 Jリーグ前チェアマンの村井満氏を新理事と副会長に決定した。任期は6月までで、6月の役員改選で新会長となる見通し。