小野寺吟雲 史上最年少の銅メダル 今度は“真冬の大冒険”スケボ界からまた新星

 「スケートボード・ストリート・世界選手権」(5日、シャルジャ)

 2024年パリ五輪の予選対象大会第2戦を兼ねて決勝が行われ、男子は初出場で中学1年の12歳、小野寺吟雲(ぎんう)が263・04点で同種目史上最年少メダルの3位に入った。オルリアン・ジロー(フランス)が269・33点で初優勝した。女子は五輪覇者で15歳の西矢椛が253・30点で日本勢最高の3位に入った。ライッサ・レアウ(ブラジル)が255・58点で初制覇した。45秒間に技を連発する「ラン」を2回、一発技の「ベストトリック」を5回滑って争った。

 中東の地で、“真冬の大冒険”が繰り広げられた。話題をさらったのは12歳。小野寺が史上最年少メダルの3位に食い込んだ。「1本目でミスったけど、2本目で『全決め』できたから、やったと思った」。新星の胸に銅メダルが輝いた。

 失敗が出れば表彰台が絶望的となるランの2回目。空中で1回転半する「540」などをフルメーク(全決め)して挽回。精神力で高難度のトリック(技)を繰り出し、87・00点と息を吹き返した。

 146センチとひときわ小さな体で立ち向かった。暫定4位で迎えたベストトリックは、レールに乗る前だけでなく後にも板を回転させるオリジナルの複合技に成功した。ダイナミックさで点数を稼ぐライバルに、テクニックで対抗した。

 7歳ごろから始めた競技で、けがは数知れない。昨年は南米で大会直前に右肘を骨折して救急搬送されながら「試合に出るために来た」とギプスを断って出場。翌月に米国での大会で準優勝、マイナビ日本選手権は史上最年少制覇と驚異の忍耐力を発揮してきた。

 ストリート男子は、新種目だった東京五輪で堀米雄斗が金メダル。女子は、西矢が日本五輪史上最年少(13歳330日)で金メダルを獲得し、16歳だった中山楓奈が銅メダル。パーク女子では四十住さくらが金メダル、夏季大会日本史上最年少の12歳で出場した開心那が銀メダル。真夏の東京に強烈な印象を残した。

 一躍、来夏のパリ五輪のメダル候補に名乗りを上げた小野寺。それでも、今後の目標を問われてこう答えた。「宇宙に行ってスケボーができるように頑張りたい」。12歳の夢はどこまでもでっかい。

 ◆小野寺吟雲(おのでら・ぎんう)2010年2月15日、横浜市出身。7歳ごろから本格的に滑り始めた。昨年はアマチュア最高峰のタンパ・アマ(米国)で準優勝し、日本選手権は初出場で史上最年少優勝を果たした。名前は禅語の「龍吟雲起」に由来し「龍が吟ずれば雲が起こるように、自然をも動かす人間になってほしい」との願いが込められている。146センチ。

 ◆スケートボード・ストリートの2024年パリ五輪予選 来年6月下旬に発表の五輪ランキングで男女各20人(いずれも各国・地域最大3)の出場選手が決まる。世界選手権や国際オリンピック委員会(IOC)が導入した五輪予選シリーズなどの対象大会でポイントを獲得。昨年6~7月の第1戦(ローマ)で女子は中山楓奈が優勝し、西矢が2位、赤間凜音が4位。男子は堀米雄斗の8位が日本勢最高だった。第3戦は6月にローマで開催予定。

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