フィギュアスケート男子の２０１４年ソチ、１８年平昌両五輪金メダリストで、プロフィギュアスケーターの羽生結弦さん（２８）が総指揮を執る、スケーター史上初の東京ドーム単独公演アイスショー「ＧＩＦＴ」が２６日、開催された。チケットは完売で、３万５０００人がドームへと集結。ライブビューイングでは国内外の映画館で３万人が、その演技を見つめた。

　－東京ドームでのショーを終えて率直な気持ちは。

　「本当、大変なことだらけでしたけど、まずはドーム公演ということより、ひとりでこの長さのスケートのエンターテインメントを作ることが非常に大変だった。今シーズン初めてまず、単独で完全にプログラムを単独ワンマンで滑りきるショーをやってみて、これ２時間半持つかな？と思ったけど、本当に名だたるメンバーが集まっているからこそできた、総合エンターテインメントを作れたのではと今は実感している」

　－３万５０００人の視線を集め、そのパワーと対峙することはどう感じたか。

　「正直、この会場に入って思ったことは、自分ってなんてちっぽけな人間なんだろうってことでした。フィギュアスケートって一人もしくは二人の人間がやるスポーツですし、それを表現として、アートとして作り上げることも勿論大事ですけど、僕は男子シングルのスポーツ選手としてやるときに、本当にちっぽけな人間だなと。ただ３万５０００人の方々、そしてあとは空間全体を使った演出をして下さった皆さんの力を借りたからこそ、その、ちっぽけな人間であったとしても、なんか、いろんな力が皆さんに届いたんじゃないかなという気はちょっとしているんですね。ある意味では震災の時に一人一人だったら何もできなかったなって記憶とちょっと似ていて。皆さんの力が『羽生結弦』という１つの存在に対して集まったからこそ、絆があったからこそ進めた、伝えられた公演だったのではと思います」

　－東京ドームの景色は。

　「えっと、技術的に言えばやっぱ平衡感覚とかすごいつかみづらかったです。スポーツ選手なんでそういうこと言っちゃうんですけど。でもこれだけの方々の前で久しぶりに歓声を浴びながら６分間練習だったり試合のプログラム達を色々やってみて、本当に幸せでしたし、何よりこうやって一人の人間にこれだけの力が集まることって普通はあり得ないことなので、本当、幸せな経験をさせていただいた。ちょっとでもこの幸せな経験とか自分から発せられた思いが、未来が見えない今の世の中に対して少しでも力になればいいなと思います」