柔道・大野「やりたい選手いなくなった」五輪3連覇目指さずJOC指導者研修制度で英国留学へ

 柔道男子73キロ級で16年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪2連覇の大野将平(31)=旭化成=が7日、都内で記者会見を開き、来年度から2年間、日本オリンピック委員会(JOC)の指導者研修制度を使って英国に留学することを発表した。24年パリ五輪は目指さない意向で、競技生活に一区切りをつけるが「柔道家に引退はない。一生修行だと思っている」と強調。所属では選手兼任コーチとなる。

 スーツがはち切れんばかりの肉体とは裏腹に、しぼんだモチベーションは戻らなかった。「やりたい選手がいなくなった」-。頂点を目指し心身を削って戦う日々に一区切りをつける理由について、大野は率直に語った。13年世界選手権で初制覇以来、73キロ級のトップに10年間君臨してきた31歳にとって、心から倒したい相手も取りたいタイトルもない。稽古は続けてきたものの「東京五輪の後、心燃える大会は出てこなかった」と漏らした。

 体重無差別で争う昨年4月の全日本選手権に出場したものの、自階級の戦いに臨む気持ちは整わなかった。昨年12月、JOC山下泰裕会長からの進言もあり、母や恩師にも告げず英国行きを決断。「中学から親元を離れ苦労した経験がある。セカンドキャリアでももう一度苦労したくて決めた」。原点回帰で険しい道を選んだ。

 釣り手と引き手を正しく持ち、大外刈り、内股で一本を狙う正統派スタイルを愚直に貫き続けた。57年ぶりの自国開催となった東京五輪でも貫徹し「(連覇は)柔道人生一番の誇り」と達成感をにじませた。

 3連覇は消滅するが、古き良き日本柔道の強さを現代において体現した功績が色あせることはない。「欧州の柔道に触れて、固定観念を打ち崩したい」。将来的な日本代表コーチや監督も視野に入れながら、指導者としての第一歩を踏み出す。

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