東京五輪代表の前田穂南 ラストチャンスでMGC出場権獲得 天満屋・武富監督明かした復活までの苦悩 一時は引退ほのめかす
「名古屋ウィメンズマラソン」(12日、バンテリンドームナゴヤ発着)
パリ五輪のマラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ」(MGC=東京、10月15日)の出場権をかけて行われ、東京五輪代表の鈴木亜由子(31)=日本郵政グループ=が自己ベストとなる2時間21分52秒で、日本人トップの2位。ルース・チェプンゲティッチ(28)=ケニア=が、2時間18分8秒で大会2連覇を達成した。
東京代表の前田穂南(26)=天満屋=は、日本人2位の2時間22分32秒の自己ベストで3位に入り、パリ五輪のマラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ」(MGC=東京、10月15日)の出場権を獲得。出場資格が得られるラストチャンスをものにした。
東京五輪以来のフルマラソンとなった前田穂は、2位グループでペースを保持。25キロ過ぎにスパートをかけた鈴木亜に一時は離されたが、粘りの走りを見せた。
東京五輪では左足首を痛めた影響もあり33位。昨年8月の北海道マラソンは新型コロナ感染、今年1月の大阪国際マラソンは、左足くるぶしを痛めて回避と五輪前から苦難が続いた。また、五輪後に導入した厚底シューズへの対応にも苦心した。
天満屋の武富豊監督(69)は、昨夏過ぎに「本音ではないと思うが、ちらっとやめましょうかと言っていたこともあった。そのくらい悩んでいたのだろう」と振り返った。「2人でつくった連続五輪出場と2時間20分を切るという2つの目標をまだ達成していない」と励ましたが、「前を向かせるまでにいろんなことがありすぎて、乗り切ることが精いっぱいだった」と言う。
大阪国際女子の回避を決めてからも1カ月近く走れず、本格再開は1月。今大会へ向けて調子が戻ったのが10日前だったため「通常の練習からすると3割程度。最後までいけるかどうか、非常に不安だった」と同監督は明かした。
万全ではない中での自己ベストに「五輪に出たいという思いの方が勝ったのかな」と同監督。MGCへ向けて「今回の練習でこのタイムで走れるなら、ちゃんともっていけば20分は狙える力はあると思う」と話していた。