柔道のパリ五輪代表 最短で今年6月に決定 調整最優先で異例の早期選出も「選手にとってベター」

 全日本柔道連盟(全柔連)は14日、理事会を開き、24年パリ五輪代表について、最短で今年6月に決めることができる強化システム改正を決めた。五輪代表選手の大会本番に向けた心身のコンディショニングに配慮することが目的。各階級で、大会成績等で明らかに優位な選手がいると強化委員会が判断すれば、今年6月から12月末までの間に五輪代表を決めることができる。5月には世界選手権(ドーハ)が開催されるため、同大会の成績をもって五輪代表が決まる可能性もある。

 来年のパリ五輪に出場するには、来年6月までの国際柔道連盟(IJF)が設定した五輪ポイントランキングで各階級17位以内に入る必要がある。全柔連は同ポイントや世界ランク、また強豪海外勢との対戦成績などを総合的に勘案した上で、日本代表の監督・コーチが提起した選手が強化委員会の承認を得られれば、その時点で五輪代表に決まる。

 最短だと五輪開幕1年以上前に内定することになるが、オンラインで取材に応じた高山健事務局長は「各階級の競合選手間で明らかな差があり(差を)埋めることが困難であると強化委員会が判断した場合、パリ五輪代表内定とする」と説明。「強化委員会では早期に代表を決めることが選手にとってベターだというコンセンサスがある」と背景を明かしつつ、「(五輪代表を決める強化委員会を)そんなに軽々しくは開けない。よほどの差がつかない限りは発動しないと思う」と注釈を付けた。

 前回東京五輪でも早期内定システムが導入されたが、当初の五輪前年である19年世界選手権優勝と同年11月のグランドスラム大阪大会の優勝が条件で、女子78キロ超級の素根輝のみが満たして最速で内定。翌20年2月の国際大会をもって14階級中13階級の五輪代表が決まったが、阿部一二三と丸山城志郎が僅差で競っていた男子66キロ級のみ持ち越しとなり、史上初の一騎打ちによる代表決定戦が同年12月13日に実施された。

 パリ五輪ではさらに早期の選出を可能とする異例のシステムとなるが、目的の1つには五輪本番に向けたケガの防止とメンタル面の保護がある。高山事務局長は「1つ1つの大会に懸ける選手の労力が大変。(客観的には)代表選考が決まっているのに(義務的に)大会に出場してケガをしてしまうことがないように。(メンタル面でも)例えば最終選考大会というのが一人歩きし、(最後の大会で)負けたのに代表に選ばれたというそしりを受けてダメージを受けることを避けたい」と説明し、「客観的に、今までのデータで早期内定選手の方が成績がよくて、ギリギリに決まった選手は活躍できなかった」と、今回の選考方針が採られた前提を明かした。

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