阿部詩、大学卒業式あいさつで武者小路実篤の“詩”引用「もう一息」8分間スピーチに松浪理事長も感激の拍手

 笑顔を見せる阿部詩(中央左)と入江聖奈(同右)=撮影・園田高夫
 理事長賞に選ばれた(前列左から)赤石竜我、友野有理、永田花菜、阿部詩、入江聖奈、宮道りん、橋田舞子、工藤恭子、(後列左から)吉越奏詞、矢澤宏太、松井謙、中島啓太、中村泰輝(撮影・園田高夫)
 日体大の卒業式であいさつに臨む柔道女子の阿部詩
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 柔道女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(22)=日体大=が15日、東京都世田谷区で行われた日体大の卒業式に出席した。卒業生代表あいさつを務め、明治生まれの文豪・武者小路実篤の詩「もう一息」を引用しながら4年間を振り返り、「次の目標は24年パリ五輪での金メダル。日体大で身も心も一段と強くなったが、もう一息、もう一息とさらに高めていきたい」と宣誓。熱のこもった8分間のスピーチが終わると、感激した様子の松浪健四郎理事長(76)が先頭を切って手をたたき、場内は拍手に包まれた。

 大学3年で五輪金メダリストに輝いた阿部は、卒業生代表に選ばれ、約3週間かけて挨拶文を考えたという。出身道場の「兵庫少年こだま会」で練習前に毎回朗読していたのが武者小路実篤の詩「もう一息」で、五輪までの戦いや、コロナ禍で苦しい時に思い返して歯を食いしばっていたと述懐。「大学生になってから(この詩が)心に響いた。本当にキツいときに『もう一息、もう一息』と心で唱えて、いろんなことに挑戦している」と明かした。

 阿部は高校3年で世界女王に輝いた実績を引っさげ、19年4月に兄・一二三と同じ日体大に進学。入学後も着実に進化を遂げ、21年夏の東京五輪で悲願だった金メダルを獲得した。世界選手権でも在学中の19年、22年の2度制覇。これらの実績が評価されて理事長賞を受賞したが、松浪理事長から賞状を手渡される際には「パリでも頑張ってください!」と声をかけられた。

 パリ五輪代表には最速で今年6月にも決まる可能性がある。5月には世界選手権(ドーハ)の大一番を控えるだけに、阿部は「最短で五輪内定をもらうことが一番。パリまでの(準備する)時間も与えられるので、最短で決めに行きたい」と闘志。また、4月からは兄と同じパーク24に入社するが、「学生生活が終わり新しいステージに立つので、すがすがしい気持ち。もっと責任と覚悟を持って柔道に取り組み、人としても成長していかないといけない」と決意を込めた。

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