柔道体重別で勝者“差し違え”の珍事 反則見逃しで試合後に勝敗訂正、逆転V立川桃は驚き「そんなことあるんだ」

 女子63キロ級準決勝で誤審が認められ、敗退から一転、決勝に進んだ立川桃
 女子63キロ級の準決勝で誤審が認められ、大会スタッフが場内のトーナメント表で立川桃のプレートを決勝に上げる
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 「柔道・全日本選抜体重別選手権」(2日、福岡国際センター)

 柔道日本一を決める大会で、勝者を差し違える珍事があった。女子63キロ級準決勝で、立川桃(ALSOK)と嘉重春樺(ブイ・テクノロジー)が対戦。嘉重が3分35秒で一発反則となる禁止技「脇固め」を掛け、立川が右肘を負傷したものの、反則を取らずに続行。そのまま腕ひしぎ十字固めを決められた立川が「参った」をして一本負けとなった。両者畳から降りて試合が終了したものの、試合後に審判団が協議して映像確認をした結果、反則を認定。両者を再び畳に上げた上で勝敗を訂正した。決勝に進出した立川は優勝した。

 両者が畳から降りてから試合結果が覆ることは極めて異例だが、主審とは違う角度から見ていた審判員が反則の可能性を指摘。2つのマットで並行して試合が進行していたため、試合後に審判長が映像確認をした上で裁定ミスを認め、勝敗を覆した。両者を畳に上げて勝ち名乗りを改めるとともに、場内アナウンスで経緯を説明。また、大型ビジョンで当該シーンのリプレイ映像も流した。

 国際柔道連盟(IJF)の審判規定に基づいた判断で、鯨井甫審判長は「審判員から指摘があり、試合後に確認したところ、明らかにミスと言うことで差し替えた」と説明。立川サイドからも所属を通じて抗議をしたが、審判員の判断で確認を行ったといい、「明らかにミスだった。ミスを認めてやり直した」と話した。

 立ち姿勢から自分の体を捨てながら相手の肘関節を決める「脇固め」は危険なため、一発反則の禁止技。立川は決められた際、右肘からブチッと音がしたといい、じん帯が切れた可能性があるという。相手の反則が取られず、畳に降りた瞬間に負けを覚悟していたというが、控え室で結果が覆ることを聞いて「そんなことがあるんだ」と驚いたという。

 右肘を痛めつつも、窮地から千載一遇のチャンスを得て臨んだ決勝は、10分45秒の長期戦を制して優勝。今後の代表争いに踏みとどまる上でも大きな勝利を挙げ「必ず優勝する気持ちで臨んだ。(準決勝の差し違えで)チャンスを貰えたと思って、絶対にモノにする気持ちだった」と涙ながらに語った。

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