復活Vのウルフ・アロン自虐連発「テレビ出過ぎた」「酒断たないと」パリ五輪へ背水の覚悟「柔道は甘くない」
「柔道・全日本選抜体重別選手権」(2日、福岡国際センター)
男子100キロ級で、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(26)=パーク24=が6年ぶり3度目の優勝を果たした。2試合を突破後、決勝はグリーン海斗(21)=日体大=に延長戦の末、大内刈りで投げて優勢勝ち。東京五輪後の休養を経て、実戦復帰4大会目でようやく頂点に立ち「ホッとした」と思わずガッツポーズ。直近では2大会連続で初戦敗退に終わっていただけに、お茶の間の人気者は「このままだとちょっと柔道が強い面白い人で終わってしまうところだった」と自虐気味に胸を張った。
東京五輪後はバラエティー番組やCMにも出演するなど、世間の注目を浴びた。一方で一時は体重が推定120キロを大きく超える緩んだシルエットになるなどブランクも大きく、復帰後は減量に苦戦。1年3カ月ぶりに実戦復帰した昨年10月の講道館杯は3位、12月のグランドスラム東京大会、同月のマスターズ大会(エルサレム)は続けて初戦敗退に終わるなど精彩を欠き、今年の世界選手権(5月、ドーハ)に代表入りできなかった。
瀬戸際の大会でようやく復活優勝を遂げ、「内容はよくなかったが、勝つことができてホッとした。(今回)優勝するかしないかでパリ五輪に出られるかどうか決まると思っていた」と背水の覚悟を告白。直近の初戦敗退について「あの負けがあって気持ちを引き締めることができた。なんだかんだ勝てるだろうと楽観的になっていた。柔道はそんなに甘くない」と自覚したという。
結果が出ないことで周囲からは批判の声も聞こえてきたが、「ちょっとテレビに出すぎていたかな。このままだとちょっと柔道が強い面白い人で終わってしまうところだった」と自虐を連発。ようやく結果で力を示し「ホッとしたし、酒を断っていたので。酒を断たないと体重が落ちない。(今日だけは会場の)福岡の街に繰り出したい」と冗談交じりに歓喜に浸った。
復帰から大会出場を重ねてスタミナも回復し、一番の課題である減量も軌道に乗ってきたものの、試合中に全身がつるなど、調整方法には改善の余地を強調。闘争心を取り戻したウルフは「(パリで)2連覇を目指せるのは(五輪で)優勝した人間だけ。これからも負けない準備をしていきたい」と力を込めた。