ウルフ 優勝でパリ五輪戦線に復活 五輪後復帰4大会目でやっと「テレビに出過ぎたかな」
「柔道・全日本選抜体重別選手権」(2日、福岡国際センター)
男子100キロ級は、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27)=パーク24=が決勝でグリーン海斗(日体大)に延長優勢勝ちし、6年ぶり3度目の優勝を果たした。五輪後、実戦復帰4戦目で初優勝を果たし、パリ五輪代表戦線に踏みとどまった。女子70キロ級は、阿部一二三らを輩出した兵庫少年こだま会出身の桑形萌花(三井住友海上)が初制覇。今大会は杭州アジア大会(9月、中国)代表選考会を兼ね、5月の世界選手権(ドーハ)代表は出場していない。
苦しんだウルフが復活を遂げた。五輪後、復帰4大会目でようやく初優勝。お茶の間の人気者は「テレビに出過ぎたかな?ちょっと柔道が強い面白い人で終わってしまうところだった」と自虐を込めつつ、「優勝しないとパリ五輪の2連覇はないと思っていた」と背水の覚悟を明かした。
初戦から何度も腹ばいになる苦しい展開。準決勝は減量のダメージで全身がつるアクシデントにも見舞われたが辛勝。決勝も大学生に押されたが、大内刈りで技ありをもぎ取った。映像確認を経て優勝が確定すると、両拳を握りしめ安堵(あんど)の表情を浮かべた。
五輪後はバラエティー番組やCMにも出演するなど世間の注目を浴びた。一方、一時は自己最大の推定120キロを大きく超え、柔道関係者から「タレントになったつもりか」と心ない声も浴びせられた。復帰後の昨年12月には2大会続けて初戦敗退。世界選手権代表入りはできなかったが、パリ代表戦線の崖っぷちで踏みとどまり「いくら口で言い訳しても、結果以上のことはない」と畳の上で“反論”して見せた。
今月からパーク24に移籍し心機一転。「五輪2連覇を目指せるのは優勝した人間だけ」。勝利に飢えたオオカミの逆襲が始まった。