田中希実、プロ転向の理由は「フラストレーションが爆発」 新境地で「世界のトップで戦いたい」
陸上女子で21年東京五輪の1500メートルで8位入賞した田中希実(23)が3日、都内で記者会見を行い、スポーツ用品メーカーのニューバランスと新たに所属契約を結び、プロ転向することを発表した。
田中は3月31日をもって前所属だった豊田自動織機を退社。実業団をやめ、プロに転向する理由は「決定的なことがあったわけではない。本当に積み重なってきた自分自身へのフラストレーションがちょっと爆発したみたいな部分が大きい」と説明した。
実は悩み続けていた。「去年の春ぐらいからいろんなものに挑戦したんですけど、挑戦したいと思っていた気持ちさえもなえてしまうぐらいしんどい思いの方が大きくなっていた。自分のしたいことが段々分からなくなってきていた部分があった」と心境を明かした。
昨夏は世界選手権(オレゴン)で800メートル、1500メートル、5000メートルと、異例の3種目に挑戦。「挑戦する姿勢だけでもすごいよ」と声をかけられることもあったが、「自分の中で挑戦してできていると思えなかった」と納得の内容ではなかった。「本当の意味のチャレンジってなんだろうっていうのが分からないままチャレンジしてもそれを見せているだけで。パフォーマンスになってしまっていた」と、悩み続けていたという。
「結果がでないともやもやするし、結果を求めて挑戦したわけでもない。でも多分結果を心の中で求めていたから挑戦するだけじゃ満足しないんだろうし…というフラストレーションが何回も去年の成績を通して繰り返された」。解決策を考えるうちに、「打開したい」と思うようになった。
結論は3月中旬に出した。「もっと覚悟をもたないといけない」と、今までの環境を「根っこから変える」と決断に至った。今後は「やっぱり世界のトップで戦いたいっていうのが一番の目標」と目を輝かせた。新たなスタートを切った田中が、さらなる高みを目指す。