玉井陸斗 苦手払しょく圧巻V 中国選手の「テーピング」参考にノースプラッシュ連発
「飛び込み・翼ジャパン・カップ」(9日、東京アクアティクスセンター)
男子高飛び込み決勝が行われ、世界選手権銀メダルの玉井陸斗(16)=JSS宝塚=が480・10点で優勝を飾った。すでに昨シーズンの成績で特別強化選手に指定されており、派遣参考得点(403点)も突破したことで世界選手権(7月、福岡)代表が内定した。大久保柊(昭和化学工業)は440・35点で2位となり、2大会連続の代表入りが有力となった。
日本のエースが24年パリ五輪金メダルへさらなる成長を示した。玉井は苦手意識のある2本目の207B(後ろ宙返り3回転半えび型)と、5本目の307C(前逆宙返り3回転半抱え型)で水しぶきの立たないノースプラッシュを連発。東京五輪で失敗した2つの技で80点を超える高得点をマークした。
目標の500点には届かなかったが、2位に約40点差をつける圧巻V。「207Bはいつもそわそわしちゃうけど、コツをつかめてきた。それを試合でできたのは収穫」と胸を張った。
苦手技克服のために参考にしたのは強豪・中国選手だ。飛び込みでは入水時に強い衝撃がかかるため、手首に柔らかい板の入ったサポーターをつけることが多いが、中国選手はテーピングを使用することが多い。「中国選手は水しぶきが少ない。まねして形から入ろう」。当初は思いつきだったが、サポーターで制限されていた手首の可動域が広がることでノースプラッシュがしやすくなり、技の精度が上がったという。
今後は試合勘を養うために中国、カナダなどで行われるW杯に参加予定。世界選手権12位以内で夢舞台への切符を手にできるが、見据えるのはもっと上だ。「メダルを獲得できるように。経験や練習で身につけたことを発揮できるように頑張りたい」。自国開催・福岡の舞台で日本勢初の世界一を狙う。
◆玉井陸斗(たまい・りくと)2006年9月11日、兵庫県宝塚市出身。小学1年で飛び込みを始め、12歳で出場した19年4月の日本室内選手権の高飛び込みで国内主要大会では史上最年少優勝。9月の日本選手権でも最年少優勝を達成した。21年5月のW杯東京大会で8位入賞し、同8月の東京五輪でも7位入賞。22年7月の世界選手権では日本史上最高の銀メダルを獲得。兵庫・須磨学園高2年。160センチ、54キロ。