新社会人の阿部詩 進化手応え「東京五輪100%なら今は120%」パリ切符懸かる5月世界選手権へは自戒も
柔道女子52キロ級で東京五輪金メダルの阿部詩(22)が10日、都内で取材に応じた。日体大を今春卒業し、4月から実業団のパーク24に入社。練習環境などはこれまでと変わらないものの、「学生じゃなくなったので、責任と覚悟を持って柔道に取り組むようになった」と新社会人として気持ちを新たにした。
24年パリ五輪代表選考で重要な位置づけとなる世界選手権(5月7日開幕、ドーハ)まで1カ月を切ったが、「勝てばパリ五輪に一歩近づく大会。自分自身の世界選手権(出場した大会では)4連覇もあるが、一番苦しい大会になるんじゃないかと想像している。しっかり勝ち切りたい」と決意を込めた。
昨年は21年秋に受けた両肩手術から復帰したばかりだったが、10月の世界選手権で優勝。続けて12月のグランドスラム(GS)東京大会も制し、日本勢最速で世界切符をゲットした。パリ五輪に向けても代表争いで大きくリードする中、今回の世界選手権を制すれば最短で6月にも五輪代表に決まる可能性もある。ただ、東京五輪切符が懸かる中、決勝で敗れた19年11月のGS大阪大会の経験を引き合いに「(当時は)代表を意識しすぎて、いい柔道ができなかった。今回は代表内定を意識せず、(通常の)1つの大会として1試合1試合集中していきたい」と自戒を込めた。
東京五輪まで抱えていた両肩の不安がなくなったことや、組み手や足技の強化、そして東京五輪金メダルという自信によって、確かな進化を実感しているという。「東京五輪の試合が100%だとすると、今は120%」と上積みに自信をのぞかせた。