休養明けの桐生 国内復帰戦は大事取り棄権「無理せずに」パリ五輪&日本記録へ闘志「来年に向けて挑戦する年」
「陸上・出雲大会」(16日、浜山公園陸上競技場)
男子100メートルの元日本記録保持者で、昨年6月から休養していた桐生祥秀(27)=日本生命=が、国内復帰戦予定だった特別レース同100メートルを棄権した。ウオーミングアップ中に左膝裏に違和感を抱いたたため。「けがではない。ここから試合を1週間に一本入れているので無理せずに。来週に向けてしっかり練習したい」と大事を取った選択であることを強調した。
昨年6月から「9秒台のプレッシャーと持病の潰瘍性大腸炎」を理由に休養。同年10月に練習を再開し、今年3月にオーストラリア・ブリズベンで行われた大会で約9カ月ぶりに実戦復帰した。
充電期間を経て大きく変わったのは陸上に対するメンタル面。「単純に速く走りたい、試合に出たいというのが一番変わった。自分のために走りたいレースがどんどんどんどん出てきて、自分の力がどれくらいだろうと楽しみになっている。それはここ数年はなかった」と笑顔で語った。
今後は東京スプリングチャレンジ(22日、国立競技場)、織田記念(29日、エディオンスタジアム広島)と毎週試合に出場する予定。約1年後に迫った夢舞台へ向けても「パリ五輪を見据えている」と力強く宣言した。そのために今季は国際大会出場ではなくタイムにこだわっていく。「日本記録を出したい。それ以外考えていない。東京五輪は力不足で100メートルに出られなかった。今年は世界陸上というより、来年に向けていろいろ挑戦する年」と力を込めた。