渡部葉月が初優勝 同じ班から2人負傷退場も「自分に『大丈夫』と言い聞かせた」
「体操・全日本個人総合選手権」(22日、東京体育館)
世界選手権(9~10月、ベルギー)の代表選考を兼ねて女子決勝が行われ、22年世界選手権の平均台で日本女子最年少金メダルを獲得した渡部葉月(18)=筑波大=が2位だった予選との合計106・963点で初優勝を果たした。22年世界選手権代表で予選6位の宮田笙子(18)=順大=は合計106・797点で2位。15歳の岸里奈(戸田市スポーツセンター)が合計106・764点で3位に入った。代表は5枠で、全日本の得点を持ち点に24人が出場する5月のNHK杯で4人を選出。残り1人は6月の全日本種目別選手権で決まる。
“シンデレラガール”が初の日本一の冠を手にした。予選2位の渡部は、得意の平均台で全体3位の13・433点を出して首位に浮上。最後の床もまとめて、初の頂点を射止めた。「小学生の時からずっとテレビで見ていた。まだ優勝した実感がない」と喜んだ。
突然のアクシデントにも対応した。同じ班から2人も担架で運ばれる負傷者が出る事態に「心配と不安があった」が、「ずっと自分に『大丈夫』と言い聞かせた」。最後まで丁寧に演じ、「けがなく終えることができた」と胸をなで下ろした。
昨秋の世界選手権では代表補欠だったが、大会2週間前に繰り上がると平均台で金メダルを獲得。一躍“シンデレラガール”として注目を浴びた。田中光女子強化本部長も「ポテンシャルが高い」と絶賛する逸材だ。
5月のNHK杯で4人の世界選手権代表が決まる。「自信になりましたけど、まだ気が抜けない」と渡部。再び安定した演技を武器に、体操女子の主人公になる。