田中希実「感覚が取り戻せた」3連覇 プロ表明後初、地元・兵庫のレースで苦悩克服

 「陸上・兵庫リレーカーニバル」(23日、神戸ユニバー記念競技場)

 女子1500メートルで3分59秒19の日本記録を持つ田中希実(23)=ニューバランス=が同種目に出場し、4分9秒79で大会3連覇を果たした。プロ転向表明後、初めて地元兵庫に戻ったレース。「自分の走りがわからなくなった」という迷いの中で、勝負に徹して外国人選手を置き去りにする力強い走りを見せた。

 何が何でも勝ちたかった。田中は残り500メートル付近で外国人選手、西脇工の同級生でライバルの後藤夢(ユニクロ)を置き去りにスパートをかけると、2位に3秒以上の差をつけてゴール。8月の世界選手権(ブダペスト)の参加資格となる4分3秒50にはまだ遠いが「参加標準を狙うきっかけになった」とうなずいた。

 「とにかく今日だと思った」。前日には東京選手権ワールドチャレンジ女子1マイル(約1・6キロ)で4分32秒73の日本新記録を樹立。しかし、あくまで照準は、子どもの頃から慣れ親しんだユニバー競技場で走る、この日に合わせていた。

 インドア、海外レースと連戦が続く中で「イップスではないが、自分の走りがわからなくなっていた」と明かした。3月末には豊田自動織機を退社し、4月からニューバランス所属の「プロ」として再発進。環境の変化と悩みの中で「地元が一番自分に帰れる場所。ここで克服できないと、もう克服できない。どうしても勝ちたかった」と覚悟を決めた一戦だった。

 レース中は中学時代の恩師の声が聞こえた。無心で走っていた当時の「感覚が取り戻せた」という。「ラストスパートはまだまだ」と課題も残しつつ、はじけるような笑顔は本物だった。

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