サーフィン・稲葉玲王が逆転V 残り20秒で波とらえた!パリ五輪代表選考会「WG」切符ゲット
「サーフィン・ジャパンオープン」(27日、仙台市・仙台新港)
2024年パリ五輪の予選を兼ねたワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当、5~6月・エルサルバドル)の代表選考会で、デイリースポーツがメディアパートナーを務めるジャパンオープンが行われた。男子決勝は稲葉玲王(26)が残り20秒から逆転し、合計11・57点で脇田泰地(24)との一騎打ちを制して初優勝し、WG代表に決まった。女子決勝は東京五輪銅メダルの都筑有夢路(22)=木下グループ=が合計13・50点で2連覇。大会後に男女各3人のWG代表が発表された。
眠れる獅子が最後にほえた。25分の決勝、残り1分。稲葉が優勝するには5・68点が必要だった。タイムリミットが迫る中でも「波が来ることを信じた」と焦らなかった。残り20秒で波を捉えると、波の頂点で鋭く板を切り返すオフザリップを決め、さらにターンをつなげて6・07点。逆転Vのスコアを砂浜で聞くと、熱戦を繰り広げた脇田と笑顔で互いをたたえ合った。
千葉県一宮町出身。サーフィンは6歳で始め、13年の世界ジュニア選手権では16歳以下の部で4位に入った実力者だ。地元開催だった東京五輪の出場は逃したが、24年パリ五輪代表選考会となるWGの切符は獲得した。
シニアでのWGは初めてだが「10年近く世界を回って自信がついた」と不安はない。「普段戦っている選手。緊張することはない」と冷静で「しっかり結果を残して出場権をいただきたい」と、ニヤリと笑ってみせた。
名前の「玲王」の由来は、手塚治虫さんの作品「ジャングル大帝」からきている。ライオンの主人公「レオ」がジャングルの王者へと成長していく姿は、自身にも重なる。「王が二つ入る名前。『“キング”になれよ』という意味だと思う」と楽しげに明かした新王者。冒険譚(たん)の続きには、夢のパリ五輪を描きにいく。
◆稲葉玲王(いなば・れお)1997年3月24日、千葉県一宮町出身。元プロサーファーの父・康宗さんに連れられて6歳でサーフィンを始めた。2010年10月に日本プロサーフィン連盟(JPSA)のプロテストに当時史上最年少の13歳で合格した。13年の世界ジュニア選手権では16歳以下の部で4位。19年はプロ最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)の予選シリーズ(QS)の年間ランキングで、一時5位に入るなど奮闘した。22年のアジアオープンで優勝。172センチ、70キロ。