「終わった選手」柔道・王子谷剛志、6年ぶり全日本Vで男泣き「奇跡です」4度目日本一は歴代3位タイ
「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)
体重無差別で争われ、決勝は王子谷剛志(30)=旭化成=が、羽賀龍之介(32)=旭化成=に延長戦の末、相手の反則により勝利し、6年ぶり4度目の優勝を果たした。4度目の日本一は鈴木桂治と並び、歴代3位タイ。6大会という優勝ブランクも大会史上最長となり「(自分は)終わった選手だと思っていた」「奇跡です」と男泣きした。
決勝は東海大相模中時代からずっと同じ所属を歩んできた1学年先輩である羽賀との根比べを制し、2人で抱き合った。6年ぶりの日本一返り咲きで涙を浮かべ「投げて勝つ方が良かったが、不器用な自分が勝つにはこれしかなかった。でも、勝ち切ることができて幸せ。(羽賀は)僕の憧れの選手で、いつも先輩の練習姿勢とかを尊敬していた。(対戦が)夢だったが、大舞台で実現して感謝しかない」と頭を下げた。
日本武道館で真価を発揮する“全日本男”も、国際大会では結果を残し切れず、目標としていた東京五輪の代表戦線から早々に漏れた。「正直、僕自身(自分は)終わった選手だと思っていた」。ただ、20年2月に結婚し、翌年からは拠点を神奈川から所属の宮崎県延岡市に移して心機一転。社業に就きながら柔道を続け、30歳にして再び輝きを取り戻した。
場内インタビューでは「(原動力の)一番は妻、家族、そして今年の夏に生まれてくる我が子のために全力を尽くしました」と今夏に第1子が誕生することも明かし、場内から喝采を受けた。「僕にとって全日本選手権が全てなので、また皆さんに喜んでもらえるように盛り上げていきたい」と力を込めた。