阿部一二三 丸山との直接対決に5連勝 8年に及ぶライバル関係「一区切りついたと思う」

 世界選手権で2年連続優勝を果たした阿部一二三
 男子66キロ級で2年連続4度目の優勝を果たし、喜ぶ阿部一二三(共同)
 丸山城志郎(左)を攻める阿部一二三(共同)
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 「柔道・世界選手権」(8日、ドーハ)

 3度目のアベック世界一に輝いた兄妹金メダリストが、そろってパリ五輪切符を決定的とした。男子66キロ級は、東京五輪王者の阿部一二三(25)=パーク24=が決勝で宿敵の丸山城志郎(29)=ミキハウス=に延長戦の末10分14秒で反則勝ちし、2年連続4度目の頂点に立った。直接対決でも丸山に5連勝とし、代表決定に大前進。女子52キロ級は東京五輪女王の阿部詩(22)=パーク24=が圧巻の5試合オール一本勝ちで制し、2年連続4度目の優勝を果たした。代表争いで他を寄せつけず、来月にも最速で代表に決まる見通し。

  ◇  ◇

 8年に及ぶライバル関係に“終止符”を打った。阿部は宿敵丸山との頂上決戦で「気持ちのぶつかり合い」と10分超の死闘を終始攻撃的に押し切った。担ぎ技や足技で主導権を握り、相手の内股やともえ投げにも対処。ピリオドを告げる3つ目の指導が入ると、手をたたいて万感。直接対決5連勝で通算7勝4敗と差を広げ「一区切りついたと思う」と勝利宣言を発した。

 昨年も直接対決を制して頂点に立ったが、ライバル構図は継続となった。毎回心身をすり減らす抗争に「僕は続いてほしくない」と本音もにじませたが、「敵は自分。やるべきことをしたら絶対負けない」と受け入れた。

 互いに刺激し合うように猛練習を積み、世界で誰も手の届かない領域で争った。「僕らがいつも決勝で戦ってるから、どうせ(決勝に)いくやろと思われているが、そんなに簡単なことじゃない」。ピタリと背中に付けてくる丸山のすごみを最も知るからこそ、今回でケリをつけたかった。

 “延長戦”も制し、決着の気配が漂う。パリ五輪代表選考について、日本男子の鈴木監督は「結果を残した者はどちらかということで判断せざるを得ない」と阿部の優位を示唆した。「丸山選手がいなければ今の自分はない。もっと日本柔道を引っ張っていければ」。25歳のエースは宿敵の思いも背負い、新たなステージに入った。

 ◆阿部一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市出身。神港学園高から日体大に進学した。全日本選抜体重別選手権は16、17、22年制覇。世界選手権は17、18、22、23年優勝、19年3位。21年東京五輪で金メダルを獲得した。世界ランク5位。得意は背負い投げ。167センチ。

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