阿部詩 オール一本勝ちで五輪代表内定決定的 兄と3度目アベックV「今日は少し満足」

 世界選手権2年連続優勝を果たした阿部詩
 女子52キロ級で2連覇を達成し、笑顔の阿部詩
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 「柔道・世界選手権」(8日、ドーハ)

 3度目のアベック世界一に輝いた兄妹金メダリストが、そろってパリ五輪切符を決定的とした。女子52キロ級は東京五輪女王の阿部詩(22)=パーク24=が圧巻の5試合オール一本勝ちで制し、2年連続4度目の優勝を果たした。代表争いで他を寄せつけず、来月にも最速で代表に決まる見通し。男子66キロ級は、東京五輪王者の阿部一二三(25)=パーク24=が決勝で宿敵の丸山城志郎(29)=ミキハウス=に延長戦の末10分14秒で反則勝ちし、2年連続4度目の頂点に立った。直接対決でも丸山に5連勝とし、代表決定に大前進した。

 また一つ高みに上った最強ヒロインが、ポンッと手をたたいて喜びに浸った。5試合オール一本勝ちで4度目の世界一。圧倒的な闘いぶりで観客をうならせ「120%の力を出せた」と金メダルを見つめた。

 並み居る強豪を次々に退けた。準々決勝は好敵手のブシャール(フランス)を鮮やかな大外刈りで撃破。準決勝は東京五輪48キロ級覇者のクラスニチ(コソボ)を豪快な背負い投げから抑え込んだ。

 進境著しいケルディヨロワ(ウズベキスタン)との決勝も立ち技からの滑らかな寝技で完勝。立ってよし、寝てよしの完勝劇に「最後は寝技で決め切れて良かった。思った以上の動きもできて、今日は少し満足している」と笑った。

 東京五輪後に攻撃の幅を広げ、多彩な技と試合運びを披露した。体重は減量前の時点で2キロほど増やし、力強さもアップ。受けた指導はゼロで、全て試合時間の4分以内で決着という完璧な内容に「また一段成長できたと思う」とうなずいた。

 2連覇を目指すパリ五輪へ、日本女子の増地監督は「大きく前進した」と評価。心技体が整ったヒロインに「スポーツ界を引っ張る存在になってもらいたい」と競技の枠を超える期待を寄せた。

 昨年10月の世界選手権、12月のグランドスラム東京に続いて頂点に立ち、大会前から最も五輪切符に近かった詩の“最速”内定は決定的。「私の闘いはまだまだこれから。この結果に満足せず、パリ五輪で2連覇をするために、また精進していきたい」と慢心はなかった。

 ◆阿部 詩(あべ・うた)2000年7月14日、神戸市出身。夙川学院高(現夙川高)時代の17年世界ジュニア選手権で優勝。世界選手権は18年に初めて制し、19、22、23年も優勝した。21年東京五輪金メダル。世界ランク6位。得意は袖釣り込み腰、内股。日体大から今春、パーク24入りした。158センチ。

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