新添左季やっと初V 26歳“ロマン砲”ついに開花「腐らず努力してきて良かった」

 金メダルを手に笑顔の新添左季(共同)
 女子70キロ級決勝、ドイツのスコッチマロ(下)を攻める新添左季
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 「柔道・世界選手権」(11日、ドーハ)

 女子70キロ級決勝で、昨年3位の新添(にいぞえ)左季(26)=自衛隊=がジョバンナ・スコッチマロ(ドイツ)に合わせ技で一本勝ちし、初優勝した。初戦の2回戦から得意の内股を軸に5試合を制し、来年のパリ五輪代表に近づいた。日本勢の同級制覇は2018年の新井千鶴以来4大会ぶり。男子90キロ級で村尾三四郎(22)=JESグループ=は3位となり、2度目の出場で初のメダルを獲得した。

 柔道界の“ロマン砲”がついに花開いた。悲願の世界一に輝いた新添の目から、光るものがこぼれた。「世界選手権の優勝は目標だった。自分が思っていたよりうれしかったみたい」。準決勝は2連覇のマティッチ(クロアチア)を小外刈りで仕留め、決勝も得意の内股から抑え込んで合わせ技一本。弱気だった26歳がついに固い殻を破り「腐らず努力してきて良かった」と感慨にふけった。

 171センチから繰り出すダイナミックな内股は破壊力抜群。半面、要所で勝ち切れないもろさも持ち合わせた。東京五輪代表争いに加わったが、後に金メダルに輝く新井千鶴らを超えられず、21年夏はテレビ視聴者の一人として応援。「すごいな、という感じで見ていた。『次は自分だ』と思えるほど自信もなく、純粋に応援していた」。勝負師としては拍子抜けするほど、優しく控えめな性格だった。

 ただ、新井らが引退。階級を先導する立場となり「一番経験させてもらっているのは私。代表として自覚を持たないと」と責任感が芽生えた。かつては「私なんて」とネガティブ発言が口についたものの、今大会に向けて「パリ五輪を見据えて何としても金メダルを取る」と強気な発言もするようになり、「言うのはタダ。自信を持てるように思い込んでいる」と自らを変革した。

 五輪前年についに覚醒した大器は「今回の優勝は大きいと思うが、まだ全然油断できる状況ではない。(今後も)手堅く勝てるように頑張る」。テレビ視聴者ではなく、日本代表としてパリの畳に立ちに行く。

 ◆名前 新添左季(にいぞえ・さき)

 ◆生年月日 1996年7月4日

 ◆出身 奈良県橿原市

 ◆サイズ&得意技 171センチ。左組みで、長い手足を生かした内股

 ◆経歴 2歳上の兄の影響で6歳から橿原市クラブで柔道を始めた。天理中、天理高と進み、山梨学院大卒

 ◆所属 19年から自衛隊体育学校に所属し、現在の等級は3等陸尉。ちなみに、所属の先輩で東京五輪女子78キロ級金メダルの浜田尚里は1等陸尉

 ◆主な戦績 山梨学院大2年だった16年講道館杯で初優勝すると、同年12月のグランドスラム東京大会は決勝で新井千鶴を破り初制覇。18年アジア大会では金メダルに輝き、同年ワールドマスターズ大会も制した。世界選手権は22年大会に初出場し3位

 ◆好物 カツ丼チェーン店「かつや」のソースカツ丼が好きで、18年アジア大会優勝時にはご褒美で食べることを明かした

 ◆趣味・特技 自転車で散策、映画観賞、三点倒立

 ◆家族 両親と兄、弟

 ★五輪で強い女子70キロ級★女子70キロ級の日本勢制覇は2017、18年優勝の新井千鶴と01、03年を制した上野雅恵に続き、新添は3人目。同級は五輪で特に強く、16年リオデジャネイロの田知本遥と21年東京の新井が続けて制覇。上野は04年アテネ、08年北京を2連覇する偉業を達成した。

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