石川佳純「晴れやかな気持ち」 笑顔、時折涙の引退会見 今後はテレビ各局からオファー殺到か
卓球女子で五輪3大会連続メダルの石川佳純(30)=全農=が18日、都内で引退会見を開き、「引退を決意したのはやり切ったと思えたから。とても晴れやかな気持ち。今日を笑顔で迎えられたことがうれしく、ありがたい」と23年間の競技生活に別れを告げた。今後は47都道府県を回る自身の卓球教室イベント「サンクスツアー」で卓球の魅力を発信していく一方で、テレビ各局からキャスターなどのオファーが殺到するとみられる。
やり切った。晴れやかな気持ち-。時折涙ぐみながらも、7歳から30歳まで続けてきた競技生活に区切りをつけた石川の笑顔と言葉からは充実感があふれた。
「23年間すばらしい経験をたくさんさせていただいた。五輪3大会連続メダル、世界選手権では混合ダブルスでの世界一など、表彰台に立った景色はこれからも忘れられない」
引き際を決めたのは3月の国際大会直後。4月のWTTマカオ大会を区切りにする決意を固めた。家族4人だけのLINEグループで「次で最後にします」と報告し、「お疲れ様」「よく頑張ったね」と労われた。家族以外に知らせることなく、東京五輪金メダルの陳夢(中国)に挑み、敗れたのが現役ラストマッチとなった。
SNSで引退を表明したのは今月1日。突然の発表に惜しむ声もあふれたが、長年トップで戦ってきた勝負師として出した答えだった。「直前にファンの方に(引退を)伝えようかと思ったが、最後まで全力で戦う姿を見てほしいと。すごくすがすがしい気持ち」。真剣勝負の場に感傷は持ち込まず、全力を出し切る姿勢を貫いた。
今後について具体的に言及しなかったが、「新しいチャレンジとして勉強もしてみたい。スポーツが好きなのでスポーツに関わる分野や、人に伝えることを学ぶことで自分の経験を伝えられたり、また新しく成長できるのかな」と意欲。来年にはパリ五輪も控える中、卓球界の人気者に各局からキャスターなどのオファーが殺到することは必至だ。
天才少女として脚光を浴び、日本のエースとして世界と戦い、近年は世代交代とも戦ってきた。「現役生活が長くなるほど苦しい時間も多かったが、自分自身に向き合うこと、諦めない、逃げないという自分なりの強いポリシーは最後まで果たせた」。輝きを放ち続けた23年間の卓球人生に、胸を張って別れを告げた。
◆石川佳純(いしかわ・かすみ)1993年2月23日、山口市出身。両親の影響で7歳から卓球を始めた。五輪は12年ロンドン大会で団体銀メダルを獲得し、シングルス4位。16年リオデジャネイロ大会は団体銅メダル。21年東京五輪では日本選手団副主将を務め、団体では3大会連続のメダルとなる銀メダルを獲得した。17年世界選手権では混合ダブルスで日本勢48年ぶりの世界一。全日本選手権ではシングルス5度優勝。家族は両親と妹。左利き。157センチ。