「大相撲夏場所・１２日目」（２５日、両国国技館）

　関脇霧馬山が大関貴景勝を寄り切って１０勝目を挙げた。三役として３場所連続の２桁勝利で、大関昇進の目安とされる直近３場所合計３３勝に到達した。横綱照ノ富士は関脇若元春を下して１敗をキープ。平幕朝乃山が関脇大栄翔に敗れて２敗となったため、単独トップに浮上した。優勝争いは１敗の照ノ富士、２敗の霧馬山と朝乃山に、３敗で平幕剣翔が続く。

　会心の相撲で勝負の一番を制してみせた。勢いよく貴景勝に当たった霧馬山は、二の矢でスパッと右差し。下手を引くと、一気に走って勝負をつけた。場所前からの目標だった１０勝目。「勝負に勝ったので、うれしかった」。歓声を浴びながら、土俵上で大きくひとつ息を吐いた。

　大関とりの重圧から硬い相撲が目立った前半戦。７日目の正代戦の朝に部屋付きの鶴竜親方（元横綱）から「慣れていかないと。失敗してもいいから、自分の相撲を取っていけ」と助言された。その日は２敗目を喫したものの、その後は立ち合いが徐々に復調。この日は「思い切り当たっていくと決めていた。勝った負けたより、自分の相撲で、いい相撲を取りたいと思っていた」と言葉通りに大関を撃破した。

　大関とりの目安とされる三役で３場所合計３３勝をクリア。昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長（元関脇琴ノ若）は「千秋楽までの相撲内容を見ながらですね。明日からの相撲が大事」と慎重な姿勢を示したが、霧馬山は初場所１１勝、春場所１２勝で優勝ときて、今場所も１２日目までトップと１差。昇進を阻む材料は見当たらない。

　もちろん、霧馬山にも油断はない。「まだ３日ある。一日一番、しっかり相撲を取ることを考えて」と表情を崩さなかった。２場所連続の優勝も射程圏。文句なしの成績で大関に上がる。