サーフィン松田詩野 パリ五輪内定1号 「本当にうれしい」東京五輪はギリギリで出場逃す

 パリ五輪内定1号となった松田詩野
 アジア最上位が確定し「五輪出場権」と書かれたボードを持つ松田詩野(ISA/Jersson Barboza提供・共同)
 サーフィンのワールドゲームズ女子に出場した松田詩野(ISA/Pablo Jimenez提供・共同)
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 「サーフィン・ワールドゲームズ」(5日、エルサルバドル)

 2024年パリ五輪予選を兼ねたワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当)で、女子の松田詩野(20)がアジア最上位を確定させ、全競技を通じてパリ五輪代表の日本勢第1号に内定した。4回戦を勝ち進めず敗者復活6回戦に回ったが、敗者復活5回戦までに東京五輪銅メダルの都筑有夢路(木下グループ)ら全てのアジア選手が敗退したことで、自身初の五輪代表に内定した。来年2月のWG(プエルトリコ)に出場する条件を満たせば代表権が確定する。松田は敗者復活6、7回戦を勝ち上がり、同8回戦に進んだ。

 誰よりも悔しさを味わった場所で、今度は晴れやかな笑顔をのぞかせた。松田は、全てのアジア選手が敗退したことで代表が内定。大会の公式サイトを通じて「オリンピックの1年前に出場権を獲得できて本当にうれしい」と喜びをかみしめた。

 19年9月。東京五輪予選として宮崎で開かれたWGでアジア最上位になり、条件付きの代表権を手にした。ただ、代表確定には21年WG(エルサルバドル)で日本勢2人に7位以内(別の条件で内定している選手を除く)で上回られないことが条件。同大会を都筑、前田マヒナに次ぐ日本勢3番手で敗退した松田はギリギリで条件を満たされ、無情にも内定を逃した。

 東京五輪期間は、日本を離れたい気持ちも「あった」と、プロサーファーの脇田紗良と練習に訪れたニカラグアで、試合をオンライン観戦した。競技の“五輪デビュー”に「ワクワクした」と高揚感もあったが、「自分がここにいたら、ってもちろん考えた」-。

 悔しさは「原動力」と心に刻み、エルサルバドルで「リベンジ」を果たした。24年のWGに出場すれば代表は確定。日本連盟は代表権を持つ選手を24年WGに派遣する意向を示しており、今度は代表権を失うことはない。

 パリ五輪の会場は世界有数の荒波で知られるタヒチ。「チャレンジングな場所で、そこでいい波に乗れるように準備したい」。ようやく手にした夢切符は、全競技を通じて日本勢最速の“プレミアム切符”。その重みを知るからこそ、残りの時間を無駄にはしない。

 ◆松田詩野(まつだ・しの)2002年8月13日、神奈川県茅ケ崎市出身。両親の影響で6歳からサーフィンを始めた。中学2年でプロに転向。18年世界ジュニア選手権16歳以下の部で2位。19年5月の第1回ジャパンオープンで初代女王となった。同年9月のWGでは15位でアジア最上位。中学時代のあだ名は世界中を転戦していたことから「世界の松田」。158センチ。

 ◆最近の夏季五輪3大会の代表内定1号 2012年ロンドン大会は、10年8月1日の射撃の世界選手権(ミュンヘン)で男子50メートルピストルを制した松田知幸(当時34)=神奈川県警。16年リオデジャネイロ大会は、セーリング男子RSX級の富沢慎(当時30)=トヨタ自動車東日本。15年4月3日に連盟が定めた2つの選考大会の成績で日本勢トップになり内定した。21年東京大会は、19年7月13日の水泳世界選手権で飛び込み男子シンクロ板飛び込みの寺内健(当時38)、坂井丞(当時26)組が8位以内で代表に内定した。

 ◆サーフィンのパリ五輪予選 各国・地域の出場枠は原則として男女とも2。昨年のWGで団体を制した日本男子は追加で1枠を獲得し、最大3人が出場可能。予選は優先度の高い順に①2023年プロ最高峰チャンピオンシップツアー(CT)年間順位で上位の男子10人、女子8人②23年WGでアジア、アフリカ、欧州、オセアニアの各大陸の男女最上位③24年WG上位選手-などとなっている。23、24年のWGにともに出場することも条件の一つ。

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