失格騒動から決勝へ 加藤未唯の激動全仏に海外メディア注目「悲惨な1週間がハッピーエンドに?」「救いの物語にアジア人の名が」
「テニス・全仏オープン」(7日、パリ)
混合ダブルス準決勝が行われ、加藤未唯(ザイマックス)、ティム・プッツ(ドイツ)組が、アルディラ・スーチャディ(インドネシア)、マトウェ・ミドルコープ(オランダ)組と対戦し、7-5、6-0のストレートで勝利し、決勝進出を決めた。加藤は17年全豪オープンの女子ダブルスで穂積絵莉とのペアでベスト4の経験はあるが、決勝進出は四大大会初となった。
加藤とスーチャディは、今大会女子ダブルスでペアを組んで出場。同3回戦で加藤がコートに落ちていたボールを返球した際、ボールガールに直撃し、危険行為として失格となっていた。コートを挟んだ挨拶では、ともに失格騒動を経験しながら、混合ダブルスの準決勝まで進んできたスーチャディと熱い抱擁を交わし、健闘をたたえ合った。スタンドから降り注ぐ拍手に笑顔でお辞儀もして応えた。
テニス界に大きな波紋を広げている失格騒動からの混合ダブルスでの決勝進出。加藤の激動の今大会は海外メディアでも注目を集めており、「ユーロスポーツ」は「ボールガールへの直撃と失格から決勝へ 加藤未唯のリベンジ」とのタイトルで報じ、「彼女にとって幸いなことに、混合ダブルスのファイナリストとなり、パリでの悲惨な1週間はハッピーエンドで終わる可能性がある」と期待を込めた。ESPNは「加藤はまだローランギャロスでリベンジできる」と題し、「ローランギャロスは感情のシーソーです。この救いの物語に、2023年、アジア人の名前が付けられるかもしれない。加藤未唯という名の」と、報じた。
〈女子ダブルスにおける加藤組の失格〉加藤組はマリエ・ブズコバ(チェコ)、サラ・ソリベストルモ(スペイン)組と対戦。第1セットを落として迎えた第2セットの3-1での第5ゲーム。加藤が自コートに落ちていたボールをバックハンドで相手コート奥の方向に軽く打ち返したボールが長くなってしまい、ボールガールの直撃。ボールガールが泣き出してしまった。
加藤はボールガールに謝罪。主審は当初警告を与えたが、対戦相手が異議を申し立てて、最終的に失格が言い渡された。加藤は涙を流しながら、コートを後にした。
同場面についてロイター通信は「アレクサンドル・ジュゲ主審は加藤に警告を与え、ネットの反対側でブズコバとソリベストルモが失格を要求した」と報じている。当初は主審は「彼女(加藤)は故意にそうしたわけではない。彼女(ボールガール)は怪我をしたわけではない」としていたが、ソリベストルモは「彼女は泣いているし、血を流してる」と主張し、主審にボールガールと話すようにうながした。主審はボールガールと話した後、失格を言い渡したという。
加藤は試合後に、騒動について謝罪。失格に伴い、賞金とポイントの没収のペナルティを受けたが、危険行為にはあたらないとして、四大大会側に提訴したことを明かした。また、プロテニス選手協会(PTPA)が6日、声明を発表。加藤組の失格について「不当で不公平なものだった」と、批判。「少なくとも未唯とアーディラの賞金とランキングポイントは回復されるべき」と、求めている。