「レスリング・明治杯全日本選抜選手権」（１７日、東京体育館）

　世界選手権（９月、ベオグラード）代表選考会を兼ねて行われた。女子５７キロ級準決勝で、五輪２連覇の金城梨紗子（旧姓川井、２８）＝サントリー＝は、世界女王の桜井つぐみ（２１）＝育英大＝にテクニカルフォール負けを喫し、自力でのパリ五輪代表入りが消滅。今大会は５３キロ級の志土地真優（２５）＝ジェイテクト、６８キロ級の川井友香子（２５）＝サントリー＝も優勝を逃し、日本女子の東京五輪金メダリスト３人のパリ切符が絶望的となった。

　結婚・出産を経てママとしての五輪挑戦を掲げた金城は、準決勝で２１歳の現世界女王にテクニカルフォールを取られて力尽き、自力での五輪３連覇は消滅。「３回目の五輪を目指す人と、１度も出たことがない人の五輪への執着心（の違い）を感じた。（桜井）つぐみちゃんの方が（勝利への）欲が強かった」と脱帽し、「世代交代というか、日本のレスリング界は明るいなと思う」と若手の台頭を歓迎した。

　東京五輪で４階級を制覇した日本女子だが、５３キロ級で公式戦１２１連勝を飾っている藤波朱理（１９）＝日体大＝を筆頭に新世代の活躍がめざましい。

　五輪３連覇の吉田沙保里、４連覇の伊調馨というレジェンドの偉業があらためて浮き彫りになる。２人を目の当たりにしてきた金城は「先輩方の連覇は知らない人から見てもすごいことだが、本当のすごみをわかるのは現場でやっている選手たち。特に女子は国内で勝てば五輪に直結するようなものなので。私も２連覇はしているが、（川井）友香子や（志土地）真優も五輪を取ったことにしか分からない重圧、感情を味わっている。みんな（辞めずに）やっているだけですごいと思う」と、改めて五輪連覇という重みを強調した。