「陸上・布勢スプリント」（２５日、ヤマタスポーツパーク陸上競技場）

　男子１００メートル決勝で、今季休養を挟んでいた東京五輪代表の多田修平（２７）＝住友電工＝が、東京五輪後のベストとなる１０秒２１（追い風１・７メートル）で２位に入った。鈴木涼太（２４）＝スズキ＝が１０秒１７で優勝。９秒９５の日本記録を持つ山縣亮太（３１）＝セイコー＝は、予選で１０秒２９（追い風１・６メートル）も決勝には進めず、Ｂ決勝で１０秒３４（追い風１・４メートル）の同組１着だった。

　５月に約２週間、完全休養した多田は、同１４日の関西実業団で復帰。１０秒６３と低調だっただけに、今大会の予選で１０秒３１（追い風０・９メートル）、決勝で１０秒２１を出し、「よくここまで短期間で戻った」と胸をなで下ろした。

　４月の織田記念国際後に「メンタル面が大きかった」と不調を感じて走ることもトレーニングも休止した。精神的に追い込まれたのは、東京五輪４００メートルリレーでのバトンミスがネット上でバッシングされたことも大きかった。

　しかし、休養中に同じ五輪リレーメンバーだった桐生祥秀（日本生命）が木南記念で１０秒０３の好記録をマーク。「五輪メンバーが走ってくれてうれしかった」と再び走り始めた。東京五輪の悪夢から２年。「やっと殻が破れそう」と取り戻した笑顔は本物だった。