阿部一二三&詩 兄妹で五輪連覇へ最速パリ大会代表内定 ライバルとの差明確で早期決定

 全日本柔道連盟(全柔連)は29日、強化委員会を開き、4階級で2024年パリ五輪代表を決めた。男子66キロ級の阿部一二三(25)と、女子52キロ級の阿部詩(22)=ともにパーク24=はそろって2大会連続の代表に内定。兄妹での五輪2連覇に向けたスタートラインに立った。女子48キロ級の角田夏実(30)=SBC湘南美容クリニック=と同70キロ級の新添左季(26)=自衛隊=は初の五輪代表。いずれも5月の世界選手権(ドーハ)で優勝しており、ライバルとの差が明確という判断で早期決定に至った。

 パリ五輪開幕まで393日を残し、阿部兄妹が早くも連覇への挑戦権を獲得した。一二三は東京五輪で金メダルに輝いた後、国内外4大会に出場し全て優勝。さらに、東京五輪からし烈な代表争いを演じてきた元世界王者の丸山城志郎(ミキハウス)に対しても、5月の世界選手権決勝で撃破するなど直近5連勝とし、完全決着をつけた形となった。

 東京五輪では14階級で唯一、最後まで代表に決まらなかった一二三だが、今回は男子で唯一最速での代表切符を獲得。パリ一番乗りとなった25歳に、都内で会見した日本男子の鈴木桂治監督は「柔道関係者以外でも知っている、伝説に残る試合を展開してくれた2人だが、われわれが代表に求めるのは強さ。ここは心を鬼にして決断した」と語った。

 詩は東京五輪後の両肩手術も経たが、完全復活。5月の世界選手権では圧倒的な強さで2連覇を果たし、パリへの視界が開けた。

 本番まで1年1カ月という長期の準備期間を得て、盤石の強化プランで準備できる。2人はシード権獲得も視野に、国際大会2~3戦出場を想定しているが、日本女子の増地克之監督は「どこの大会を選ぶのか、内定が出た場合は選択しやすい。間隔をしっかり開けて試合に挑めるので、ケガのリスクも下がる」と意義を強調した。

 今月には地元兵庫で初の冠大会「ABE CUP」も開催。名実ともに柔道界の顔となった2人が、もう一度金メダルを手にするために動き出す。

 ◆阿部一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市出身。兵庫・神港学園高から日体大に進学した。世界選手権は17、18、22、23年に優勝、19年は3位。東京五輪で金メダルを獲得した。得意は背負い投げ。パーク24所属。167センチ。

 ◇阿部 詩(あべ・うた)2000年7月14日、神戸市出身。世界選手権は兵庫・夙川学院高(現夙川高)3年時の18年に初めて制し、卒業後に日体大に進学した。19、22、23年も優勝。東京五輪で金メダルを獲得した。得意は袖釣り込み腰、内股。パーク24所属。158センチ。

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