阿部一二三 兄妹連覇へ詩に黄金バトンつなぐ いつもと逆のリレーに詩は「不安になってきた…」
29日にパリ五輪日本代表に内定した柔道男子66キロ級の阿部一二三(25)、女子52キロ級の阿部詩(22)=ともにパーク24=ら4人が一夜明けた30日、都内で取材に応じた。阿部兄妹として五輪2連覇がかかる来年7月28日の本番では、東京大会とは逆の一二三→詩の順番で同日金メダルに挑戦。日本柔道で過去最速となる代表内定を得て、大会まで1年1カ月の長期期間で最高の状態に仕上げる。
五輪2連覇はいつもとは逆の“兄妹リレー”で達成する。パリ五輪でも同日に開催される2階級だが、決勝は東京五輪とは違って男子66キロ級→女子52キロ級の順で実施。他の大会でも先に優勝を決めてから兄の勇姿を見届けてきた詩は、従来とは逆のシチュエーションであることを聞き「不安になってきた…」と冷や汗をにじませた。
過去に唯一、兄の後に自身の決勝に臨んだ19年グランドスラム大阪大会では、気負いすぎて敗北した苦い思い出もあるだけに「トラウマがある。自分も見せないと、と変なプレッシャーを感じてしまった」と述懐。一方、一二三は「妹のプレッシャーにならなければいい」とおもんぱかり、「先に金メダルを取って、妹にいい流れをつくりたい」と黄金バトンへの決意を込めた。
一二三は東京五輪では全階級で唯一、最後まで代表に決まらなかったが、今回は男子で唯一最速での五輪切符を手にし「うれしい。ホッとした」と安どの様子。また、最後まで競り合った丸山城志郎とのライバル関係を振り返り「丸山選手というライバルがいて今の自分がある。しっかり勝ち切れて良かった」と実感を込めた。
東京大会は無観客だったが、パリは観客も入る。柔道人気の高い大国だけに「楽しみ。東京五輪とは別世界で盛り上がる。圧倒的に勝つ自分の柔道を見せたい」と一二三。詩は「観客の入った五輪は(東京と)全然違うと思う」と目を輝かせつつ、宿敵のブシャール(フランス)のお膝元だけに「(敵地は)嫌いじゃない。アウェーの中で勝ってやろうと思う」と舌なめずりした。
◆阿部一二三の東京五輪VTR(2021年7月25日) 初戦の2回戦はルブルク(フランス)を相手に延長の末、5分27秒大外刈りで勝つと、準々決勝はバスフー(モンゴル)に優勢勝ち。準決勝はカルグニン(ブラジル)に2分25秒、背負い投げ。決勝はマルグベラシビリ(ジョージア)に大外刈りで技ありを奪い、優勢勝ちした。
◆阿部詩の東京五輪VTR(2021年7月25日) 初戦の2回戦はビメンタ(ブラジル)に2分3秒合わせ技、準々決勝はジャイルズ(英国)に優勢勝ちした。準決勝はジュフリダ(イタリア)に延長の末、7分11秒優勝勝ち。決勝もブシャール(フランス)を相手に延長の末、8分27秒崩れけさ固めで退けた。