レスリング・文田健一郎 危機乗り越え代表切符 愛娘の前で勝利「もう一度五輪で金を」

 「レスリング・世界選手権代表決定プレーオフ」(1日、ドーム立川立飛)

 6階級が行われた。男子グレコローマンスタイル60キロ級は、東京五輪銀メダルの文田健一郎(27)=ミキハウス=が河名真偉斗(自衛隊)を3-1で下し、世界選手権(9月、ベオグラード)代表に決まった。女子57キロ級は世界女王の桜井つぐみ(育英大)が南條早映(東新住建)に内容差で競り勝って代表切符獲得。同68キロ級は石井亜海(育英大)、76キロ級は鏡優翔(東洋大)が切符をつかんだ。世界選手権で3位以内に入れば、24年パリ五輪代表に決まる。

 大ピンチを乗り越え、文田がパリへの道をつないだ。開始早々から足などがつるアクシデントに見舞われながらも「体が動かなくて『ヤバいな』と思って冷静になれた」。要所でポイントをもぎ取った後リードを死守。五輪出場への挑戦権を手にし「五輪にもう一度出て金メダルを取りたい」と決意を込めた。

 5月上旬、練習中に左ハムストリングスを肉離れし、完治まで12週間と診断された。6月の明治杯全日本選抜選手権は欠場し、今回のプレーオフもギリギリの日程でパリ五輪へ窮地に陥ったが、走れない間も水泳トレを取り入れて維持。「全然泳げない。クロールができないので平泳ぎで泳ぎっぱなしだった」と笑わせつつ、「けがのおかげで泥くさく勝てた」と胸を張った。

 会場には妻有美さん(36)と、1月に誕生した長女遥月(はづき)ちゃんの姿もあった。新米パパレスラーは「(娘に)初めてレスリングの試合を見せて、勝つところを見せられて良かった」とえびす顔。大一番が続くが「娘には勝つ姿だけを見せたい」と小さな勝利の女神に誓った。

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